第692話 大騒動

ハルノブが意識を失うように眠りについた事で屋敷内が騒然となる。

「ハルくんは無事なのか!」

「おい、どうなっているんだよ。」

ハルノブが寝る寝室に子供達か集まってくる。


「みんな静かにしなさい、ハルノブは寝ているだけですよ。

でもみんなが騒いだら起きちゃうでしょ。」

いち早く駆けつけたサリナはともに駆けつけたファイの診断と健やかに寝息をたてているハルノブの様子から大丈夫だと判断していた。


「でも、いきなり寝ちゃったし・・・」

一番近くにいたローラは泣きそうな顔をしていた。

そんなローラの頭をサリナは優しく撫でる。

「赤ちゃんはそんなものです、自分の楽しいを限界までやって寝て大きくなるのよ。

ローラに抱かれて楽しかったの、それなのにローラが悲しそうな顔をしたらハルノブも悲しくなっちゃうわ。」

「・・・ハルくん、大丈夫なの?」

「大丈夫よ、安心しなさい。」

「おかあさん・・・」

ローラは安心したのか、サリナに抱きつき泣き始めた。


「あらあら、ローラが甘えん坊になっちゃったのね。」

サリナはローラを優しく抱きしめ、泣き止むまで頭を撫でていた。


サリナの言葉もあり、屋敷は少しずつ平穏を取り戻していくのだが・・・


「おい、エーリヒ!こっちにこい!」

「何だよルーデル、ハルくんが大丈夫だったからっていきなり機械イジリするなよ。」

「そうじゃない、ハルくんが触ってた所を調べたんだが、俺が魔力付与するより硬度が上がっているんだ。」

「それってまさかハルくんが魔力を使ったって言うのか?」

「そうだと思う。」

「おいおい、いくらハルくんが可愛いとはいえ、そこまでは・・・」

「エーリヒ忘れてるのか?ハルくんはアマテラス様の加護を授かっているんだぞ。」

ルーデルの言葉にハッとなる。


「それじゃあ、ハルくんは加護のチカラに目覚めたということか?」

「そうだ、まあ偶然なのか、意思でやったのかはわからないがな。」

「いやどっちにしても凄いじゃないか。」

エーリヒは自分の事のように喜ぶ。


「まあな、しかしこれで決まりだな。」

「何が決まったんだ?」

「ハルくんの中で一番の機体は俺のA-10だって事だ。」

ルーデルは大きく笑う。


「・・・ルーデル、たまたまA-10が近くにあっただけだ。」

「くくく、負け惜しみを。

さて、ハルくんが強化してくれたA-10をさらに強くしないとな。」

ルーデルはA-10の改造に取り掛かる。


それに負けじとエーリヒを筆頭に航空隊は自身の愛機の強化に精を出すのであった。

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