第695話 再びマックス訪問

翌日、マックスが子供用のおもちゃを多数持ってやってくる。

「マックス、その大荷物はなんだ?」

「ハルノブくんへのお詫びの品だ、王都にある物を集めてきた。」

マックスは帰宅してからすぐに王都にある赤ちゃん用玩具を集めた、積み木、ガラガラ、木馬など、様々な物を持ってきていた。


「いや、既にうちにもあるのだが・・・」

「まあまあ、王都1の職人が作った物だ、きっと気に入ってくれるはずだ。」

「まあ、いいか、ハルノブの所に案内するよ。」

俺はマックスを連れてハルノブの所に向う。


だが、部屋で寝てると思ったハルノブは既に起きて、屋敷内を散歩に出ており、ベッドに姿が無かった。


「あら、いない、えーと今日の担当は・・・おっ、カルラか、リミ、カルラは何処に散歩に行くか言ってた?」

俺は部屋の片付けをしていたリミに行き先を聞いてみる。

「今日はアキラさんの稽古を見に行くと言ってましたよ。」

「アキラさんの訓練か・・・マックス今日は無理だな。」


「何を言っている、カルラさんが連れているなら丁度いい、すぐに行くぞ。

リミさん、訓練所でいいんだな?」

「ええ、マックス様、訓練所で行っています。

おとうさんも頑張ってください。」


俺はマックスに首根っこを掴まれ、訓練所に連れて行かれるのだった。


「ほらハルくん、これがジイジの強さじゃぞ。」

訓練所ではボロ雑巾になっているリョウがいた。


「・・・マックスここはまずい、サッサと逃げるぞ。」

「何を言うヨシノブ、カルラさんがいるではないか、ここは良いところを見せるチャンスだ。」

「俺はカルラに良いところを見せる必要なんてない、それより鬼がオニがいる!!」

「鬼?シモちゃんの部下に多くいるではないか。」

「違う、酒天達じゃない!離せ!俺を逃がせよ。」

俺が逃げようと足掻く中、はいながらリョウが俺の足を掴む。


「にがすか・・・お前も地獄を見ろ・・・」

「リョウ、離せ!逝くなら一人で逝け!」


「なんじゃ、ヨシノブも来たのか、父親としてハルくんに良いところを見せるべきであろう、さあかかってこい。」

アキラは木刀を俺の前に投げる。


「アキラさん、今日は練習日じゃないですし・・・」

「漢ならグダグダ言うな!さっさとこい!」

俺は覚悟を決めて木刀を持つ。


「遅い!」

持った瞬間にアキラが間合いを詰めて俺を薙ぎ倒す。

「くっ!」

俺はなんとか木刀で受ける事はできたが、そのまま吹き飛ばされていた。


「アキラ殿、一手ご教授を。」

マックスも木刀を持ちアキラに挑む。

「ふむ、ヨシノブよりは覚悟が出来ておるな、参られよ。」

「いざ!」

マックスはチカラのまま木刀をと振り下ろす。


「チカラは良し、じゃが技が足りん、当てるために工夫をせんか!」

アキラはマックスの袈裟斬りをすらし、横蹴りで胴体を蹴り俺と同じように吹き飛ばすのだった。


「ハルくん、ジイジの強さを見たじゃろ?

ほれ、カッコいいじゃろ。」

アキラは俺とマックスを吹き飛ばしたあと、ハルノブに向き直すが、ハルノブは俺を心配して手を俺の方に伸ばしていた。


「なっ!ヨシノブどういうことじゃ!」

アキラの視線が俺に向く。

「アキラさん、おとうさんを倒せばハルくんも心配しますよ。」

ハルノブをダッコしているカルラが当然のようにツッコむ。


「なんじゃと・・・」

珍しくアキラがショックを受けている様子を見たリョウが・・・


「立て、ヨシノブ、マックス、爺さんを殺るぞ!」

俺とマックスもリョウの言葉に応え、立ち上がり三方からアキラに襲いかかる。


・・・だが、木刀が届く事は無かった。

アキラが振るった木刀は刃となり俺達三人の木刀を粉に変えていた。


「・・・ヨシノブ以外なら折檻しても構わんということじゃな、ヨシノブは下がっても構わんぞ。」

「あっ、お言葉に甘えて俺はハルノブの所に行ってます。」

俺はフツフツと湧き上がるアキラの闘志を感じ、そそくさと退却する。


「てめぇ逃げる気か、それでも漢か!」

「うるせぇ、ケガするよりはマシだ、ほらアキラさんハルノブが見てますよ、やっちゃってください。」

俺はカルラからハルノブを受け取るとよく見えるように抱きかかえる。

ハルノブも俺にダッコされて上機嫌になり、両手を振っていた、その姿はまるでアキラを応援しているようにも見えた。


「そうか、ハルくんが応援してくれるなら張り切らねばならぬな。」

「クソジジイ、他所の子に対する優しさを実の孫にも見せやがれ!」

「ほう、ハルくんを他所の子とは・・・

いい度胸じゃな、リョウ今日は厳しめでいくぞ。」


「こうなればマックス、一緒に・・・っていない!」

マックスはハルノブを俺に渡して、手の空いたカルラに近寄り声をかけていた。


「あきらめろリョウ、孫に良いところを見せるために散れ。」

「クソジジイがぁぁぁぁぁ!!」

その後あっさりリョウは倒されるのであった・・・

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