第562話 とある冒険者の捕縛

冒険者ギルドがマックスの手で落とされてから数日がたった、多くの冒険者が騎士団に捕縛されていたが、秘密を知る高位冒険者は捕まれば命が無いと抵抗している者もいた。


「捕まってたまるか!」

高位冒険者パーティ、竜の翼は森の中を駆けていた。

メンバーはリーダーの剣士ギルティ、武闘家マッチョ、魔法使いリリル、シーフパナスの四人メンバーだった。


「はぁはぁ、ギルティ少し休もうよ、これ以上走れない。」

一番体力が少ないリリルはすでに息が切れており、ついていくのがやっとになっていた。

「リリル頑張れ国境まで逃げないと・・・

いや、少し休むか。」

ギルティは焦る気持ちもあったがパナスも疲れて来ているのがわかり、休む事にしたのだ。


「あーなんで私達が逃げないといけないのよ。」

一息ついてパナスが愚痴をこぼす。

「聞くところによるとギルドが国の情報を他国に売ってたらしい。」

「それって、たまにあった、ギルドの指定依頼かな?」

リリルは顔を青くしている、リリル自身マインズ王国出身でもあり、国を裏切るつもりなど無い、ただギルドからの依頼だった為に調べただけだった。


「まあそうだろ、魔物が関係無いのに砦を調べろなんて言われたからな。」

「そんな、私そんなつもりなんか無いよ!でもやらないとランクアップ出来ないって!」

「でも、やってしまった事に違いはない。

さあ、早くローラン王国に逃げ込もう。」


「おっと、そこまでだな、抵抗を止めて武器を放棄しろ。」

騎士団が竜の翼に追いつく。


「あと少しなのに・・・」

リリルは膝をつく。

「リリル戦うぞ、見たところ相手も四人だ、切り抜けられない相手じゃないだろう。」

「で、でも騎士に攻撃したらそれこそ反逆者になっちゃう。」

リリルは祖国に弓引く気は無く、攻撃の意志は無い。


「ならば、逃げるがいい。ここは俺に任せろ!」

マッチョが騎士に殴りかかる。

「マッチョ!!」

三人の悲痛に似た声が響く。


「遅いな。」

マッチョは殴りかかった腕を斬り落とされ、逃げられないように足も斬られるのだった。

「ぐわぁ!」

マッチョは為す術もない。


「さて、あと三人だ、抵抗するなら斬る。どうする?」

「マッチョが何も出来ないだと・・・」

ギルティは冷や汗が流れる、竜の翼はトップクラスの冒険者だった。

そのメンバーであるマッチョはかなりの力を持っていたのだが、一騎士に難なく倒される。

三人に勝てる未来は無かった。


リリルとパナスは顔を見合わせる。

マッチョを見捨てて逃げる訳にはいかない。

「私は抵抗しません、ですからマッチョにポーションを使用する事を許してください。」

リリルはそう言い、手持ちのポーションの使用を願い出る。

「いいだろう、だが変な真似をしたら斬るぞ。」

「はい、行こう、パナス、ギルティ。」


リリルとパナスは騎士に、マッチョに向かって歩き出す。


「お、俺はいやだぁ!」

ギルティは反対方向に走り出す。

「「ギルティ!!」」

リリルは驚く、何故仲間を置いて逃げるのか、訳がわからなくなる。


「逃がすはずがないだろう。やれ!」

「はっ!」

騎士の一人が弓を引き、ギルティの足を射る。


「ぎゃあ!!」

結局たいして逃げる事も出来ず、ギルティも捕まるのであった。


「さて、逃げ出したお前は何か知ってそうだな、しっかりと吐いてもらうぞ。」

「い、いやだ、俺は何も知らない、逃してくれ。」

ギルティは三人と違う檻に入れられ連行されるのであった。

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