第552話 帰還とアメリカ
俺は一度日本に帰るリョウとゲンザイ、コウを見送っていた。
ちなみにカズトはショウの頼みからもう暫くこちらに滞在する事になった。
「リョウさん、気をつけてくださいね〜」
フユはリョウ達に手を振って見送っていた。
「大丈夫、アイツは少々で死んだりしないし・・・って、フユさんなんでここにいるの?」
「なんでって?折角異世界に来たのに帰るなんてもったいない・・・
じゃなくて、ほら、あの・・・そう、カズトくんがこっちにいるのに政府の人が置いて帰れませんよ。」
「はぁ、もう出発したから仕方ないですけど、大丈夫なんですか?」
「大丈夫です!政府はきっとわかってくれます!」
「政府の許可も取ってないのですか?」
「あはは、最悪首になったら雇ってください。
あっ、永久就職でもオッケーですよ。」
「永久就職って、俺は既婚者です。」
「男の人って愛人を何人か作るって聞きました。」
「どこ情報ですか、まったく・・・」
「あれ、フユがいるのよ?」
「シモちゃん、ちょっと乗り遅れちゃった。」
「フユはドジっ子なのよ、でもいいのよ、クッキーの作り方を教わるのよ。」
「わかった、それじゃヨシノブさん、シモちゃんにクッキーの作り方を教えてきますね。」
「早くいくのよ、おとうさん待っててほしいのよ、シモがクッキー作って来るのよ♪」
シモはフユを連れて台所に向かっていった。
「あの人が一番うちに馴染んでるな。」
台所に向う二人に他の女の子達も集まって来ているのが見えた。
ゲンザイが日本に着くと政府から人が待ちかまえていた。
「帰還おめでとう、まずは二人の無事を祝おう、それから詳しい話を聞かせてもらわなければならない。」
「はい、知っていることは話します。」
ゲンザイとコウは暫く政府に拘束されることになる。
「貴殿がリョウか?」
「あんたは?」
「私はトーマス、ヨシノブに依頼されて戦闘機の指導にあたる者だ。
後ろの二人は政府からの使者だ。」
「私はシンディ、ヨロシク。」
「俺はマイケル、リョウの高名は伺っているよ。」
三人は流暢な日本語でリョウと挨拶をかわす。
トーマスが選ばれた理由の一つに日本が好きで日本語が堪能だった事もあった。
「話は聞いているよ、ただ、すぐに出発は出来ないんだ、一週間後源の屋敷に来てくれ。住所は・・・」
リョウは自分の住む場所を教える。
「わかった、これは我々の連絡先だ、日にちが変わるときは連絡をしてくれ。」
「了解。」
リョウとトーマスは握手をかわす。
「ちょ、ちょっとまってください!なんでアメリカが異世界に行く話になっているのですか!」
政府からきた、野瀬は抗議を入れる。
「なんでって、ヨシノブと話がついているからね、誰を連れて行くかは日本政府に関係ないだろ?」
リョウは野瀬の言葉に首を傾げながら答える。
「そ、それはそうですが・・・」
「異世界は日本領では無いのだ、我らが国交を持つ事を邪魔しないでもらいたい。」
野瀬はアメリカ側からの声に黙らされる。
「リョウ、我々は日本政府とは違う、ヨシノブと友好的にしたいと思っている。」
「あいつは礼節さえちゃんとしてたら大丈夫なやつです。
あっ、これ、注意事項を小冊子にまとめてます、向こうに行くまでに読んでください。」
トーマス達はリョウが渡した小冊子を受け取り、出発までに読み込み、三人で方針を話し合うのだった。
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