第551話 留学生帰還

「いままでお世話になりました。」

ゲンザイとコウ共にヨシノブに別れを告げていた。

「ええ、短い間でしたがお疲れ様でした。」

俺は二人とあまり接点が無く、別れも簡素なものだった。


一方・・・

「カズトこれより訓練の任を解く、今日よりお前は人となる、気分はどうだ!」

「ハッ!光栄の極みであります、サー!」

「日本に帰っても私から受けた訓練を忘れるな!忘れた場合は・・・わかっているな。」

「サー、イエッサー、サー!」

「よし、ならばショウ兄に挨拶を許す、別れを告げてこい。」

「寛大な御慈悲に感謝します、サー!」

カズトはハートから巣立ち、ショウの元に駆け足で来た上、敬礼をして迎える。


「カズト、大丈夫か?」

「ハッ!身体はいたって健康であります!」

「いや、そうじゃなくて精神の方・・・」

「もちろん健康であります!」

ショウがどう話しかけても、返事がおかしい、以前のカズトは残っていなかった。


「カズト、本当に日本に帰れるのか?」

「当然であります。自分は日本に帰ってやらねばならぬ事があります。」

「やらなければならないこと?」

「はっ!ヨシノブ様の偉大さを日本に伝え、いざというときに動ける軍勢を作り上げる使命があるのです!」

「カズト、アウト!ハートくんこっちに来なさい、何を教えたんだ!」

ショウは危険思想を植え込んだハートを呼びつける。


「ショウ兄なんでしょう?」

「カズトを叩き直すまではいい、でも、軍勢を作るってなに?」

「日本にはおとうさんに害ある勢力がいるようです。

カズト訓練生は自主的に害ある勢力と戦おうと決意しただけです。」

「自主的なはずが無いだろ、カズトは馬鹿なところがあるが危険思想は無かったはずだよ。」

ショウがハートを責めるように話していると、横にいたカズトが敬礼してハートに質問する。

「教官殿、発言の許可を。」

「カズト訓練生、発言を許可する。」

「ハッ!ショウ上官殿、私は訓練により自分の使命に目覚めたのであります。

決して教官殿に従って言っているのではありません!」


「カズト、その話し方がアウトだ、ヨシノブさんに言ってカズトの帰還は少し延ばしてもらうよ。

流石にこの状態で日本に帰せない。」

「ショウ上官殿、それは横暴であります。

日本には自分を待つ、未来の同士がいるであります!」

「うるさい、このまま帰したらどんな騒動になるか・・・」

ショウはハートとカズトを置いてヨシノブの元に向う。


「ショウ上官殿、お待ちを!!」

ショウはカズトの声を無視してカズトの滞在(修復)を願いでるのだった。

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