第553話 使節団?
一週間後、リョウの家にはアメリカからの三人に加えて、イギリスから使者としてヨシノブの妹カオリがやってきていた。
「リョウさん、お久しぶりです、兄がご迷惑をおかけしています。」
「カオリちゃん、久しぶりだね、そのセリフをヨシノブにぶつけてやってくれ。」
「相変わらずそうで何よりです。」
カオリは以前からリョウと面識があり、挨拶も軽い感じだった。
「カオリちゃんがイギリスからの使者?」
「はい、イギリス政府が折角だから兄にあってきたらと勧められまして、引き受ける事にしました。」
「これはいい!ヨシノブの困る顔が見えそうだ。」
リョウは軽く笑う。
「あはは・・・」
リョウは四人を連れてヨシノブの元に戻る。 「ヨシノブ、連れて来たぞ。」
「リョウ、おつかれ〜
・・・俺、目が悪くなったのかな?
何故かカオリがいるように見える。」
俺は目を擦るがカオリの姿は消えない。
「お兄ちゃん、何を馬鹿な事を言ってるの、私は私に決まっているじゃない」
「うおッ!カオリ!なんでこんなところに!」
「イギリス政府から使者として来てるの、はい、これが親書よ。」
カオリは政府から預かった手紙を渡す。
「いや、それにしても旦那さんは?」
「働いているわ、ちょっとだけ無理言ってこさせてもらったの。」
「・・・それはいけない、リョウ、早くカオリを送り届けてくれ。」
「いやぁ〜魔力が切れてすぐには動けないなぁ〜」
リョウは白々しく答える。
こいつ楽しんでやがる・・・
「なに、お兄ちゃん。
私に見られて困る事でもあるの?」
「いやぁ〜ないよぉ〜」
俺は目をそらす。
「ならいいじゃない、それに旦那は特別研修に行って、暫く単身赴任だから気にしなくても大丈夫よ。」
レオとイギリス政府が配慮して、カオリの時間を作るために夫のタクヤに昇進とそれに伴い特別研修を行うとして住んでいるロンドンとは違うマンチェスターにて短期出張を企画し、タクヤは喜び勇んでそれを承諾していた。
「ああ、そうなんだ。」
「だから、お兄ちゃんがちゃんとやっているか見学させてもらうわ。」
「お、おてやわらかに頼みます・・・」
もともとだらしないところのあるヨシノブは昔からカオリに頭が上がらなかった。
「それにね、お兄ちゃん結婚して子供も生まれたんでしょ、妹としては会いたいし、挨拶しないと。」
「ああ、そうだね、サリナとハルノブも喜ぶと思うよ、それに沢山の子供達もいるからね、カオリも挨拶してあげて。」
「もちろんよ。」
俺とカオリの話が一段落してから、トーマス達が話しかけてくる。
「兄妹仲が良くて何よりだ、だが私達も挨拶させてもらえないだろうか?」
「これは失礼しました、知っているとは思いますがヨシノブです、ようこそお越しくださいました。」
「トーマスだ、戦闘機に乗るしか能は無いがよろしく頼む。」
「子供達の教育をお願いします、どうしても我流になってしまってますので世界一と名高いアメリカの戦闘機乗りの技術を教えてもらいたい。」
「任せてくれと言いたいがやはり子供が乗るのか?」
「ええ、うちで戦闘機に乗るのは子供ばかりですから。」
「命令だから引き受けるが、子供には少々厳しい訓練になるぞ。」
トーマスとしては大人でも厳しい戦闘機のGに子供が耐えれるとは思っていなかった。
「うちの子達は地球の子供と少し違いますから、もし訓練についていけない子がいたら遠慮なく訓練から外してください。」
「いいのか?」
トーマスは国益と引き換えに要求してきた訓練だ、何としても鍛え上げろと言われると思っていた。
「俺としては無理に乗らなくていいとは思ってるしね。
もし、脱落者が多くてもその責任を追求したりはしないから、安心して鍛えてもらえるかな?」
「それなら心置きなく引き受けよう。」
俺とトーマスは固く握手を交わすのだった。
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