第537話 モトキの落ち目

様々な物を購入したモトキは上機嫌で帰宅する。


「モトキさん!どこに行っていたのですか?」

俺は外から帰ってきたモトキに問いかける。

「ヨシノブ、出迎えご苦労、少し街に行っていただけだ。」

モトキは軽く街の酒場で酒を飲んでおり、上機嫌に拍車をかけていた。


「出歩く時は連絡をするように伝えていたはずですが?」

「堅いことを言うな、学生じゃあるまいし、少しぐらい多めにみんと誰もついてこんぞ。」

「はぁ、もういいです、ですが今後勝手に出歩かないで下さい。」

「善処しよ〜」

モトキはヨシノブを馬鹿にしたような態度で応対したあと、部屋に戻る。


それから数時間が過ぎ日が欠ける頃にモトキは呼び出しを受ける。


「モトキさん、これはどういうことですか?」

俺は商会が持ってきた金属の山を見せる。

「おっ、届いたか、待っていたんだ、さっそく調べんとな。」

「待って下さい、何を勝手に持っていこうとしているのですか?」

「なんだ、俺が買ったんだから俺の物だろ?」

「・・・あなたが買ったんですね?」

「そうだ、売買契約もあるぞ、見てみるか?」

モトキはここにきても何一つ悪いことをした素振りも無く、堂々と契約書を見せる。


「そうですか、なら支払いも貴方が行ってください。」


俺の一言にモトキが固まる。


「はぁ?何を君は言っているのだ、我々に研究用のサンプルを提出する契約だろ?」

「そんな契約はしてません、俺はただ留学を受け入れただけで、多少のサンプルを渡していたのは善意からです。

それなのに勝手にこんな高価な物を買い漁ってきて、なんで面倒を見なければならないのですか?」

「くっ、君はこの金属達によってもたらされる知識を何だと思っている!」

「もたらされるって、日本や地球にですよね、俺にはあまり関係ありませんし。」

「なんだと!」

「それと約束を破った方を滞在させるつもりもありません、ここから出ていってもらいます。」

「なっ!留学を止めさせると言うのか!」

「当然でしょう。」

「これだから、学の無い奴は困る。

・・・あーわかった、帰ってやるよ、さあリョウ帰りの便を出せ。」

モトキはこれ以上ここに居ても今回以上の金属は手に入らないだろうと思い、今ある金属を持ち帰るだけでいいと考え出す。


「無理だな、魔力の充電もあるから帰還日は変えられないよ。」

「なんだ、それはならそれまで待つしかないのか。」

モトキはブツブツ言いながらも屋敷で待つつもりになっていた。


「モトキさん、ここから出てもらうことに変わりはありませんよ。」

「な、なに?ここから出てどうしろと?」

「知りません、あっ、失礼行き先がありましたね。」

「ふん、行き先あるなら先に言え。」


「ええ、貴方の行き先は牢屋です。」

俺の言葉にモトキの顔は引き攣るのだった。

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