第536話 モトキの買い物
翌日モトキは屋敷を抜け出す。
屋敷の部屋に数点置かれていた女性物のアクセサリーが持ち運びしやすく高そうだった為それを懐に入れ、街に向う。
「店主、これの買取を頼めるか?」
「これは中々の1品ですな・・・
金貨24枚でいかがでしょう?」
「ふむ・・・もう少し何とかならんか?」
モトキは売りに来て初めて値段がわからない事に気付くが、軽く値上げ交渉すれば適当な額に落ち着くと安易に考える。
「しかしですな、これは、曰く付きでしょう、じゃないとアンタみたいな人が売りに来るものじゃない、金貨30枚、これ以上望むなら通報してもかまわないぞ。」
道具屋の店主は足下を見ていた。
どう見ても貴族の女性が身に着ける物をしがないオッサンが持ってきた事で盗品の可能性を考える、なら安く仕入れる事が出来ると踏んでいた。
実際に裏で売れば金貨100枚は軽くいくような高級品なのだ、なるべく安く仕入れて大儲けしようと考えていた。
「わかった、それでかまわない。早く用意してくれ。」
モトキは軍資金を得て、早く自分の欲しい物を見たかった事もあり、さっさと金に変えることを選んだ。
そして資金を作ったあと、ルーカス商会とは違う商会を訪れる。
「ふむ、やはり他の店も見ないとな・・・おお、なんだこれは!」
モトキは見たこともない鉱石、金属に目を輝かせる。
ルーカス商会は鉱石が専門でもない事から品揃えが悪いのだがモトキが訪れたアナホリ商会はドワーフも利用するほどの金属素材専門店であり、様々な金属、鉱石が所狭しと陳列していた。
「お客様、何かお探しでしょうか?」
「おお、店主か、この鉱石について聞きたいのだが?」
「これはニュウム合金と言いましてな、腕利きの錬金術師が僅かながら精製することの出来る金属でして、非常に硬い特性を持っております。」
「ならばこの鈍い光を放つ石はなんだ?」
「お客様はお目が高い、これはオリハルコンという最上級の金属の原石にございます。
当店でもあまり入手することが出来ず、今回久しぶりの入荷となっております。」
「して!その特性は!!」
「オリハルコンは魔力の流れがよく、その上硬い!これで剣を作れば名刀は間違い無い、ただ、惜しむは量が少ない為に他の金属と混ぜ無ければ量を得られないが、それでも混ぜた金属は比較出来ないほどの性能になる、非常識な金属であります。」
「ほう、それは値が張りそうだ・・・」
「それはかなり・・・ですが、今を逃せば目にすることも叶わない可能性もあるものです。」
モトキは金額を見るが僅かな量で有りながら、金貨千枚を越えていた。
「う、うむ〜しかし、持ち合わせが足りそうに無い・・・
そうだ、ヨシノブという奴の家は知っているか?」
「ええ、ヨシノブ様の事はよく知っておりますよ。
ドワーフ達から神のように信仰されておりますので・・・」
「それなら話が早い、私はヨシノブの客なのだ、金はヨシノブが払うから品を屋敷に送ってくれないか?」
「ヨシノブ様のお客様でしたか、わかりました。
品物をヨシノブの御屋敷に持っていった時にお支払いしていただけるのですね。
では、こちらに売買契約をお願いします。」
「ここに名前を書けば良いのだな。」
「はい、品物は夕方にでもお届けに上がります。」
「うむ、おお、それなら・・・」
モトキはツケが効くことが解ると店内にある様々な物を纏めて購入する。
「これほどのお買い上げですか・・・」
店主は高価な物を多数購入していくことに驚きと不安が生まれてくる。
「何、どうせヨシノブが払うのだからな。」
モトキは高笑いとともに欲しい物を次々にと購入していくのだった。
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