第520話 冒険者ギルド、テンプレ?
「ひぃぃぃ!!」
「こ、子供が撃った!」
留学生達から悲鳴が上がる。
「うるさいですね、相手が剣に手をかけたのですから、処分するのは当然ではないですか。
そもそも、このような理不尽は日常的に起こります。
自分で身を守れない方は自由に出歩く事は控えた方がよろしいでしょう。」
オットーは何も動じる事は無い。
そこに騒動が聞こえたギルドマスターが現れ、苦情を入れてくる。
「そこの君、ギルド内で冒険者を処刑されると困るのだがな。」
「揉めてきた時に何もせず、何を言っているのですか?
私は確認しましたよね?」
オットーは確認を入れた職員を睨む。
「それはそうなのですが・・・その、殺されるとは思わず・・・」
「冒険者が殺すのはよくて、一般人が殺されるのは仕方ないと?
冒険者ギルドとして、そう言いたいのですね。」
「そんな事は言っていない、だが君が殺してしまった男は才があり期待していた男なのだ、それを君が殺した以上、ギルドにも損害が出たのだ。
その事について君はどう思う?」
「話にならない、殺そうとしてきたものを殺して何が悪い。」
「あくまで賠償しないと?」
「する必要がないからね。」
「ならば、君を衛兵に突き出すことになるが構わないな。」
「おかしいですね?冒険者ギルドは国の管轄ではないことを誇りにしていたはずでは?」
オットーは少し笑う、普段から冒険者は国に属していないと謳う冒険者のギルドマスターが、衛兵のチカラを借りようとしていることに笑いが出たのだ。
「我々とて国に住む身だ。その国の法律を守らなければ立ち行かん事もある。」
ギルドマスターは正論をかざすもオットーは涼しい表情だった。
「仕方ないでしょう。
それなら衛兵を呼ぶといい。」
オットーは衛兵が到着するまで、留学生に冒険者ギルドを淡々と説明していた。
「殺人をしたのはお前か・・・なんだ、オットーくんじゃないか。」
到着した兵士はアキラの訓練に何度か参加している兵士だった。
「たしかジュリオさんでしたか、最近訓練に参加してませんね。」
「・・・え、えーと、今は職務を優先致します!訓練の事は後日!
さあ何が起きているんだ!そこの職員、説明してくれ!」
ジュリオは慌てるように職員に確認するが犯人がオットーと聞いて絶望の表情を浮かべていた。
「さて、ジュリオさん、事の経緯はわかりましたか?」
「正当防衛です。剣に手をかけた以上、戦闘の覚悟が見受けられる。
その結果命を落としても仕方ないと判断出来る。」
「そんな、冒険者の命が失われたのだぞ!」
「それなら何故止めなかった、冒険者ギルド内で行われた犯行であろう、少年に難癖をつけて、剣に手をかける。
これは冒険者に非がある。
もし、オットーくんじゃなかった場合、少年が被害にあったに違いない。
もし、これに不服があれば裁判所に訴えても良いが、その時は冒険者ギルドの管理に対しても争うことになると心せよ。」
ジュリオの裁定は妥当ではあるものの、その判定にはアキラへの恐怖も滲み出ていた。
ギルドマスターとしては冒険者ギルドのメンツもある。
訪れた一般人を殺そうとして逆に殺された等の話を外に広められては困る。
「マ、マックス様なら冒険者の味方になってくださる筈、この少年が何処の貴族の子息かわからないが、マックス様にその威光が通じるとは思わない方がいい。その時は衛兵も罪に問われる事になるが覚悟はいいか!」
ギルドマスターとしては数々の貴族を裁いているマックスの威光にすがる事を選ぶ。
オットーが何処の貴族であろうとマックスなら関係無く裁く平民の味方だ。
今回の事も自分達の味方になってくれると信じて疑わなかった。
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