第511話 決意
ショウは親に異世界に再び向うことを告げる。
「父さん、母さん、俺は向こうで暮らしていこうと思うんだ。」
「ショウ!何を言ってるの、折角帰って来れたのにまた向こうに行くなんて!」
母親のチヨは叫び気味に反対する。
しかし、父親のマコトはショウの顔をジッと見つめて、
「決めたのだな?」
「うん、ヨシノブさんの助けになりたい。」
「チヨ、息子の門出だ、親として送り出してやろうじゃないか。」
「あなた、何を言っているのよ、ショウはまだ子供なのよ!」
「ショウは子供である前に漢になったんだ、見ろ、ショウの眼を。
親としては寂しいものもあるが、漢になった息子の邪魔をするような事はしたくない。」
マコトはショウの眼から決意を感じ、寂しくも送り出す事を選択していた。
「父さん、ありがとう。
そうだ、これを受け取ってよ。」
ショウは通帳を渡す。
「ショウこれは?」
「僕が異世界で活動した給料らしい、源グループから支給されているお金なんだけど、父さんに使って欲しいんだ。」
「ショウ、気持ちは嬉しいがこれは受け取れない。」
「父さん?」
「これはお前が帰って来たとき、もしくはお前の子供が日本で暮らしたくなったときの為に預かっておこう。
日本の事は心配しないで異世界で思いっきりやってこい。」
「うん、頑張ってくるよ。」
決意を固めたショウとマコトは固く抱き合い、旅立ちを祝うのだった。
「わかったわ、ショウでも日本に来たときは必ず顔を出すのよ、それに帰って来れるならなるべく帰ってきなさい。」
チヨは寂しいながらもショウの独り立ちを応援することにする。
しかし、親としては家にいてほしい気持ちもあり複雑な心境だった。
「なるべく、帰ってくるよ。」
ショウは家族に別れを告げて、独り立ちするのだった。
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