第510話 ショウの頼み

「ヨシノブさん、実はお願いしたい事があるのですが・・・」

ショウはヨシノブに言いにくそうに話す。

『ショウくん、どうしたんだい?向こうで何か合った?

リョウが何もしてくれないなら折檻できる人を送るよ。』


「そうじゃないんです、リョウさんは良くしてくれてますよ。」

『いいんだよ、俺にはわかってる、すぐにアキラさんをそちらに・・・』

「それ、ヨシノブさんがアキラさんを遠ざけたいだけですよね?」

ショウは少し呆れる、まあヨシノブの気持ちはわからなくもない、きっとリョウがいない分、訓練時間が増えているのだろうと、想像ができた。

『それで、頼みってなに?』

ヨシノブ自身も冗談だったのだろう、すぐに話を戻してくる。


「実は・・・」

ショウは自分の親友カズトが異世界に行きたがっている事を伝える。

『そうかぁ・・・

それなら短期間での留学してみる?

勿論、親御さんの許可も必要だけど。』

「留学ですか?」

『そう、こっちの暮らしをみたら簡単に異世界で暮らしたいなんて言えないだろうし。』

「でも、いいんですか?その異世界に渡っても?」

『いいんじゃないかな?まあ自己責任になるけど、知り合いの一人や二人の面倒ぐらいなら構わないんじゃないかな?』

ヨシノブは比較的軽い考えだった、リョウが往来する方法を手に入れた以上、帰れないという事もなく、生活基盤を手に入れている以上、ある程度の安全性はあると考えていた。


そして、この軽い考えを聞きつけたリョウと話し合いが行われる。

「おい、ヨシノブ何をボケた事を言ってる。」

『リョウ、いきなり口が悪いぞ、もしかして短期留学の話か?』

「あたりまえだ!お前はこっちの混乱がわからんのか?」

『わかんない、まあリョウが何とかするだろ?』

「その無駄な信頼は止めてくれ、考えろよ、誰が往復すると思っているんだ?」

『リョウ。』

「わかってるんじゃねぇか、無駄な仕事を増やすな。」

『うーん、ショウくんの友人ならいいかなと思ってね、今後付き合いをするのにも異世界なんて大きな話、知っていると知らないでは溝が出来そうだろ?

それなら一度見てもらった方が誤解が生まれないと思うし。』

「お前の言うこともわからないでもない、だが、危険はあるし、そもそもこっちの混乱が増す。」

『うーん、それなら連れて来るかはリョウの判断に任せるよ。

俺は連れて来てもいいと思ってるからね。』

ヨシノブはリョウに任せて電話を切る。

「おい、コラ!待てって、切れてやがる。

さて、どうしたものが・・・」


リョウは頭を悩ませ、結局、ショウの頼みを断れず、短期留学は行われる事になるのだった。

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