第506話 再会

日本に帰ったショウを待っていたのは両親だった。

「父さん、母さん、何でここに?」

「ヨシノブさんから連絡を貰ってな、ショウが帰ってくると聞いたから、会いに来たんだ。

ほら、顔を見せてくれ。」

ショウの父親、竹内マコトはショウの顔をジッと見つめたあと、強く抱きしめる。


「立派な顔をしている、漢の顔になったな、親として誇りに思うぞ。」

「父さん・・・俺・・・」

「泣くな、折角の男前が台無しだぞ、さあ、お前の彼女を紹介してくれないか?」

ショウは自分と同じく家族との再会を喜んでいるミキをマコトに紹介する。


「こちらが森脇ミキさん、え、えーと、僕とお付き合いさせてもらっています。」

「ちょ、ちょっと、ショウ急に紹介されても・・・

あ、あの初めましてショウくんとお付き合いさせてもらっています。」

ミキはショウに家族をいきなり紹介されて驚いていた、それと同時にショウを家族に紹介することになる。


「仲がいいことで何よりだ、ショウ、ミキさんを大事にするんだぞ。」

マコトは頬を赤らめる二人を見て微笑ましくなっていた。


「みなさん、再会を喜んでいる所すみません、これからについて説明しますのでこちらへ移動してください。」

リョウが全員を大広間に集める、そこには全員分の席が家族ごとに用意されていた。


「えー、ショウくん、ミキさん、マイちゃん、カエデちゃん、まずは帰還おめでとう。

これからの事について話すよ。

君たちには選択肢があります。

まずはこのまま日本に残って生活する道、もう1つは異世界に帰って生活する道だ。」


ショウたちは全員頷く。

「どっちにしても源グループとヨシノブがフォローすることを約束するよ。

まずはこの通帳を受け取ってもらいたい。」

リョウはあらかじめ用意していた通帳を全員に渡す。


「リョウさんこれは?」

「ヨシノブが用意した君達への給料だよ。」

「えっ?でも、なんで日本円なんですか?」

「源グループとの取引の代金はヨシノブの口座に入れているんだ、だからそこから捻出しているよ。」

「え、えーと、ヨシノブさんは日本に口座があるんですか?

たしかに日本では亡くなられたとか・・・」

「現に生きてるしね、だから源グループの銀行に口座を作ったんだ、そこで資産運用と税金を払っている。」

「税金も払っているんですか?」

「当然だね、アイツは死んでるけど高額納税者だ。」

「・・・なにかおかしいような?」

「まあ、その辺は政治的な見解も入るみたいだけど、資金の流れは理解してもらえたかな?」

「一応・・・でも、僕達が受け取るような仕事はしてませんよ。」

「充分にしてたよ、特にショウくんはヨシノブの右腕として活躍してたし、ミキさんもショウくんを支えてくれた。

マイちゃんも子供達のお世話を頑張ってくれたし、カエデちゃんは・・・程々にしなさい。」

リョウはカエデにだけはため息混じりに言うのだった。


「あれ、でも、桁が多いような?」

ショウは金額を見て驚く、通帳には一千万から入っていたのだった。

「それだけヨシノブは稼いでいるからね、まあ、活躍に応じて金額は変えさせてもらっているよ。」

1番活躍していたショウに一千万、ミキに七百、マイとカエデには四百万ずつ入っていた。


「僕はまた異世界に行きますから日本円をもらっても・・・」

「それなら親御さんに渡せばいい、親孝行の代わりになると思うよ。」

リョウの言葉にショウがハッとする、ヨシノブに恩を返したい、その気持ちはある。

だが、両親を置いて異世界に行くことが正しいのか・・・


「みんなもよく考えて決めたらいいよ。一応往来は出来るようになったけど、いつまで出来るかわからないしね。」

ショウを含めてみんな悩み始めるのだった。

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