第505話 日本人帰還

マックスが嬉しそうに被災地に向かって行く中。


「ショウくん、ミキさん、カエデちゃん、マイちゃん、一度日本に帰るかい?」

俺は日本人組に帰省を打診する。


「ヨシノブさん?それはどういうことですか?

俺はもっと働けますよ!」

ショウくんは必死の形相で訴えかけてくる。

「えーと、ショウくんはこっちに残りたいのかな?」

「はい、今更日本に帰っても留年して退屈な学校に行くだけです、それならこっちの方が・・・」

「俺としてもみんなにいてもらった方が助かるから残ってくれるのはありがたいけど、一度、家族の元に帰らないかい?」

「一度ですか?」

「そう、また来たくなったらリョウに頼めばいいからね。」

俺はリョウが持つ天鳥船の力で行来が出来ることを確認したのでみんなに一時帰省の話をすることにしたのだった。


「もちろん、日本にいる間、源グループさんのお力でみんなを保護させてもらうし、日本に残る選択をしてもちゃんと源グループがみんなのフォローをしてくれることを約束してくれているから大丈夫だよ。」

俺は源グループにイロイロ提供している、その代わりとしてみんなの保護を願い出ていたのだった。

「わかりました、久しぶりに家族にも会ってみたいですから、でも、みんなで帰って大丈夫ですか?せめて俺とミキは別々の方が良くないでしょうか?」

ショウは副官に任じられている二人が同時に帰ることを心配していた。

「折角帰るのだから、二人一緒にね、お互いの家族にも会いたいだろうし、それに先に帰ったユカリさんとはみんな一緒に会った方が嬉しいでしょ。」

俺は全員一緒に帰ることの必要性を伝える。


「それじゃ、お言葉に甘えさせてもらって・・・

みんなもそれでいいかな?」

ショウはみんなの同意を得て、帰還することにした。


リョウがショウ達を連れて日本に帰還するのを見送ったあと、部屋でサリナとお茶を飲む。

「ヨシノブさん、良かったのですか?

デーニッツがいない今、ショウくん、ミキちゃんがいないと船を使える人が足りないのでは?」

「大丈夫、いざとなれば俺が動くし、それに親御さんには早めに会うべきだと思うんだ。

リョウのお陰で安全性も確認出来たしね。」

リョウの持つ天鳥船の試用も終わったので、これから行来出来るようになる、それなら早い内に会うべきだと考えていた。


「もう、みんながヨシノブさんが動かないで済むようにしてたのに。」

「動かないのも退屈なんだよ、それに何も無いならノンビリさせてもらうから。」

サリナはいざとなると動くという言葉にため息を漏らす。

俺としては平和ならノンビリしてもいいなと思い、窓の外を見るのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る