第507話 議員
「リョウくん、少年達が異世界から帰ってきていると聞きましたが?」
保護者の動きからショウ達の帰還に気付いた宮木総理は源家を訪ねていた。
「よく気付きましたね、たしかに帰ってきましたよ。」
「リョウくん、正直に教えてくれないか?異世界に行く手段を見つけたのだね。」
「なんのことでしょうか?」
「しらばっくれても駄目だよ、ご家族の方々が友人に子供の進路を相談している所まで掴んでいるからね。」
「そうですか、まあご想像の通り、行ける手段を見つけましたよ。」
「おお、そうか!それなら向こうの国と国交を持たなければならないね、外交官を派遣したいのだがいつなら大丈夫かな?」
「国に使わすつもりはありませんよ、あくまでも自分達の移動手段ですから。」
「そんな事を言わずに、各方面から源グループだけが異世界の物資を専有している事について問われているんだ。」
「ヨシノブと繋がりがあるのは俺ですからね、妹さんはイギリスですし。
まあ、クレアグループも妹さん経由で品物を得ているでしょうから源グループだけの専有というわけでもないですね。」
「国内についてだよ、化粧品もポーションもミスリルも源グループだけじゃないか、少しは政府にも回してくれないか?」
「ヨシノブとの繋がりを大事にしなかったのは政府でしょ?
あいつはヘソを曲げると面倒くさいからね、関係を再構築するなら頑張って。」
リョウはあくまでも他人事のように振る舞い、口利きをすることを拒んでいた。
宮木もリョウに無理押しが効かないことを理解しており、大人しく引き下がるしかなかった。
だが・・・
「桐谷さん、あなたが独占している異世界への移動手段を解放してもらおう。」
「何だお前、いきなり来て。」
「私は国会議員の本田右京である、さあ早く承諾しろ。」
「いやいや、総理にも断ったが解放するつもりは無い、そもそも向こうに行ってどうするつもりだ?」
「新しい未来の為だ!」
「はい?」
「向こうにある様々な物質の中には地球に無いものが多数あるだろう、それを調査、輸入できる体制を作るべきだ!」
「お断りします。」
「なぜだ!」
「俺が持つ移動手段はそれなりに力を必要とします、そんなホイホイ行けるものではないですからね。
安易に地球と向こうが繋がったなんて考えない方がいい。」
「そう言って、源グループで独占するだけじゃないか!」
「俺は源グループの社員ですからね。おかしなことはないかと。」
「くっ、ならば源グループの調査結果を公表して物資の提供を求める。」
「断ります、異世界の事は知らない方がいいですよ。たまたまあっただけで、俺やヨシノブがいなくなれば連絡が途絶えるよう世界です、互いに頼らない方がいい。」
「だが!」
まだしつこく粘ろうとする本田を警備員が連れ出す。
「離せ、まだ終わっていない。」
「俺は終わりました、俺としては無関係な人を異世界に連れて行くつもりはない。」
俺はハッキリ拒絶して、本田を追い出したのだった。
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