第502話 ルーズが訪ねるが
「ヨシノブ、頼みがあって来たのだが・・・これは?」
ルーズがヨシノブの屋敷に着いた時には騎士団が慌ただしく動いている最中だった。
「ルーズさん、使者は送ったはずですが、噴火の救済にマックスが向かう準備と、俺の方から幾らかの援助をしてます。」
「う、うむ、ワシもヨシノブに頼もうと思ってこちらに来たのだが・・・」
「それは丁度良かったです、一応建前としてリズさんとリーナさんの連名で援助を申し出た形を取らせて貰ったのですが必要無かったようですね。」
俺から支援したのでは国としての面目が潰れると思い、王族の二人が申し出た事にしてもらっていたのだった。
ルクスがいたら押し付けたのに、婚約者の事もあってかこの所、屋敷に顔を出していなかった。
「配慮に感謝致す、ヨシノブのお陰で王家の面目が立つであろう。」
「まあ、色々ご迷惑をかけていますしね。
それより、お茶でも飲んでいって下さい。」
「うむ、いただこうかな。」
ルーズは肩の荷が降りた気分になり、お茶を楽しむ事にするのだった。
お茶を飲みながら、支援内容を説明していくと・・・
「ヨシノブ、それ程食料があるのか?」
援助の食料の話でルーズから確認の言葉がでる。
「ありますよ、持ち出す必要はありますが、俺の乗る船からだと無尽蔵に出せます。」
俺はルーズ相手なら隠す必要も無いと正直に話す。
「ヨシノブ、対価は払うので王都に食料を売ってもらえぬか?
恥ずかしながら食料の高騰が抑えられんのだ。」
「いいですよ、ただ、農業をなされている方に影響があったらいけないので流通量の制御は国の方でお願いできますか?」
「わかった、して対価だが、」
「通常の仕入れ値でいいですよ、ただ、輸送に関しては任せてもよろしいですか?」
「ありがたい、輸送は信用できるものに任せよう。」
ルーズは一安心する。
「お父様、いらっしゃいです。」
ルーズが来ている事を聞きつけたリーナが部屋にやって来た。
「おお、リーナも来ていたのか?」
「?!は、はい、来てました、もうさっき来たといっても過言ではありませんわ。」
リーナは一度首を傾げてから慌てるように言う。
「リーナさんは昨日から滞在してますよ。」
「ヨシノブさん、言わないでください!そんな事がバレたらお父様に叱られてしまいます・・・あっ!」
「リーナどういうことかな?」
「あわわ・・・」
リーナは手を口の前においてどうしようといった表情を浮かべている。
「まあまあ、リーナさんもリズさんに久しぶりに会えて楽しかったのでしょう、はしゃぎすぎて寝てしまいましたので、リズさんと同じ部屋で休まれました。
城にも知らせが行ったはずですが何処かで行き違ったのでしょう。」
俺はリーナに助け舟を出す、実際はお菓子を食べすぎて動きたくないと言って帰らなかっただけだったのだが、問題なさそうな話にすり替えたのだった。
そして、知らせはルーズの元にも届いていたが、援助の事で頭が一杯となっており、抜け落ちていただけだった。
「娘が迷惑をかけて申し訳ない。」
ルーズは頭を下げる。
「いえいえ、ハルノブの面倒も見てくれていますので、私としても助かっていますよ。」
ハルノブは1番小柄なシモとリーナによく懐いていた、特に普段会えない分なのか、リーナと遊ぼうとしていた。
リーナもそんなハルノブをよく可愛がってくれるのだ。
俺としては感謝こそすれ、迷惑とは思っていなかった。
「ハルくんは私のおとうとですもの、お世話をするのは当然ですわ。」
リーナは誇らしげに胸を張る。
「うにゅ、リーナはハルくんに近すぎなのよ、ハルくんの1番のお姉ちゃんはシモなのよ。」
シモはリーナに張り合うようにハルノブを抱きしめるのだった。
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