第501話 噴火の報告

マックスが裁きを続ける中、クシズ山の噴火が王都に伝わってきた。

「山が火を噴いただと、ヨシノブの言っていた事はこれか!

必要なものを用意せよ、我が資産を使ってもかまわん、民の命を第一に動け!」

ルーズは国内全てに非常事態宣言を行う。

幸いマックスが潰した貴族から没収した資金が潤沢にある、予算に問題は無いのだが・・・


「食料がないと?」

噴火の被害があった地区の食料の多くは燃え尽きており、近隣の広い範囲まで作物の収穫が危ぶまれており、国内にビザ家の領域に回すには絶対数が足りなかった、それに加えて食料が高騰しており、火山の影響が無い所まで値段が上がっていた。

「何処かに食料はないのか?」

「父上、ヨシノブに頼むのはどうでしょうか?」

ルクスはルーズに進言する、長い間一緒にいたルクスはヨシノブの力を知っており、食料を生み出せる事を知っていた。

「それはいい、だが、また借りを作ってしまうな。」

「アイツは気にする奴ではありませんよ、それよりまずは国民の命です。」

「そうだな、よし、ワシ自ら頼みに行こう。」

ルーズはすぐに王宮からヨシノブの屋敷に向かうのだった。


一方、ルーズが動き出す前にマックスが裁判に一段落つけヨシノブの屋敷を訪ねていた。

「カルラさん、私の活躍をみてくれましたか?」

「ええ、素晴らしい、御人気ですね。」

「私の名声も全てカルラさんの言葉があってこそです。」

「はぁ・・・」

「カルラさんが職務に邁進するように進言してくれた結果です!」

「そうでしたか、お役に立てたなら光栄ですね。」

「お役になんてものではないです!私はカルラさんのお蔭で・・・

そ、それで仕事も片付きましたし、時間もあります、これから、そ、そうデー・・・」

話の途中で騎士の一人が部屋に入ってきてマックスに知らせを伝えに来る。


「山が火を噴いた?それがどうした、私は今カルラさんと話をしているのだ、どちらが大事かはわかるだろう。」

マックスにブレは無かった、国民とカルラを天秤にかけて重い方は・・・


「マックス様、山が火を噴いたとなると一大事なのでは無いのですか?」

「・・・うむ、一大事ではあるな。」

マックスは前言を翻しカルラに良いところを見せようと考える。

「騎士団長のマックス様も動かれるべきなのでは?」

「も、もちろんだ、騎士団長である以上、国民の為に立たねばならん。

カルラさん、申し訳ないが・・・」

マックスの瞳に涙が浮かぶ、このままデートに行きたかったのに、カルラに格好をつけるためには仕事に行かなければならない。

心の葛藤が涙となり流れる。


「流石、騎士団長ですね、おとうさんがきっと支援してくれると思いますから一度お話されてみては?」

「そうか、ヨシノブに相談してみるとするか。」

ヨシノブと話すということはまだ屋敷に、カルラの近くにいれるということだ、マックスは少しでもそばにいれる選択を選ぶ。


「おとうさん、マックスさんがクシズ山の噴火についての支援を願い出てます。」

カルラはマックスを連れてヨシノブの元に来る。

「わかった、俺も現地に行って・・・」

「ダメです、おとうさんは動かないで下さい、そのためにマックス様が動いてくださるのですから。」

カルラはヨシノブを動かさない為にマックスを焚き付け、救援に向かわすように手配したのだった。


「うう・・・なら、必要な水と食料、医薬品、を渡すよ、あと近くまでになるけど船も手配する、普通に行くより早く行けるはずだ。

カルラ、デーニッツと一緒にマックスを被災地近くまで送ってくれるかい?」

「任せてください、マックス様、短い旅路ですがご一緒させていただいてよろしいでしょうか?」


「もちろんだ!!ヨシノブ、貴殿の配慮感謝致す、この恩、マックス生涯忘れぬぞ!」

「オーバーな事を・・・まあ、諸々の手続きはマックスの騎士団長の肩書と、そこで卑しん坊をしている、王女様達と協力してもらうかな。」

俺は部屋の中でケーキを頬張る、リズとリーナを指差すのだった。

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