第500話 アキラ被害者(神々)

「アーア様に申し上げます。」

「何だ、いい知らせかな?」

アーアが自室でノンビリしているところに下級神が知らせを持ってくる。

「わ、悪い知らせにございます。」

「・・・何だ言ってみろ。」

アーアはノンビリしていられないことを感じながらも知らせを聞く。


「地上に降りられてましたダーダ様、ヤーヤ様、マーマ様がお亡くなりになられました。」

下級神は声に詰まりながらも知らせを伝える。


「ふむ、三人が帰って来るだけでは無いか、たいして悪い知らせでは無いだろう、いや、一応亡くなったのだから悪い知らせと言うのも間違いでは無かったな。」

アーアは笑う、下級神の立場を考えれば亡くなった事を良い知らせとは言えまい。

こういった発言に気をつけないとパワハラ上司と呼ばれてしまうな。

アーアは自分の言動に気をつけなくてはと思うのだが・・・


「それが・・・御三方はアキラの手にかかってしまいまして・・・」


ガタン!


アーアは座っていた椅子から立ち上がる。

「なんだと!!」

アキラに斬られると神界に帰って来れなくなってしまう、三人が本当に死んでしまうのだ。


「なぜだ、アキラを襲撃でもしたのか!」

「ダーダ様がお戯れに大地を揺らして遊ばれていた所、アキラが現れ問答無用でバッサリと・・・そして、ヤーヤ様、マーマ様は急ぎお逃げになられたのですが、逃げ切れず・・・」

「あの悪鬼め!我ら神を何だと思っておるのだ!」

「アーア様、如何になさいますか?」

「・・・どうしろというんだ。」

アーアは先程までの激昂は鳴りを潜め、声のトーンも落ちる。


「御三方を討たれたのですよ、あの悪鬼を野放しにしてはこれからも被害が・・・

どうにか討伐をしなくてはならないのでは無いのですか!」

「誰が倒せるというのだ、先代達がこの神の領域で皆殺しにあったのを忘れたのか!

先代は我らより力があったのだぞ!」

「しかし・・・そうだ、策を用いればあの悪鬼とて討ち取れるのではないでしょうか?」

「策だと?」

「はい、観察した所、産まれたての孫を寵愛しているようです。

ならば、その子を盾に武器を捨てさせた所を武勇のある御方達が襲えば。」

「一考しても良いのだが・・・果たしてその程度で勝てるのか?」


「勝つしか神々が生き残る道が無いのです。

これは聖戦なのです。」

下級神は意気込んでいるがアーアには不幸な未来が待っている気がしてならなかったのだ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る