第497話 マックスの人気

「マックスの人気が上がっている?」

俺は街の噂を聞いて耳を疑う。

そして、噂を聞きつけてきたパウルと話していた。

「はい、善良な平民の為に傲慢な貴族を打ち倒す英雄だそうです。」

「だれが?」

「マックスさんです。」


俺は首を傾げる、悪い奴では無いがワザワザ平民の為に貴族を倒すとは思えなかった。

そして、貴族を倒すということは、国内が荒れる事にと繋がりかねない。

「パウル、もう少し調べてくれないかな?

どれぐらいの貴族が倒されて、どのような被害があったか知りたい。」

「わかりました、すぐに調べて来ます。」

パウルは1日をかけて調べる。


翌日。

「おとうさん、調べました。

現在マックスさんにやられている貴族の多くはビザ家の派閥に属する者で、他は捕まえた貴族が持っていた証拠で芋づる式に捕まった者達みたいですね。」

「ビザ家か、となると発端は俺だなぁ・・・」

「国として対応した結果ということですね。」


「この件で怨みに思う貴族がいるよね?」

「いるとは思いますが・・・」

「どうした?」

「マックスさんがあまりにも苛烈にやり過ぎている為に他の貴族が口を挟めないみたいですね。」

実際、親族を罰せられた為にマックスに文句をつけた貴族もいたのだが、平民の全面協力により粗を探され罰せられる。

「マックスがやらかすのはいいけど、ルーズさんに迷惑かけてないかな?」

俺はルーズに気苦労が集まるだろうと予測して同情するのだった。


その頃、王宮では、ルーズ王に奏上してマックスの解任を求めるものの・・・

「国の歪みはいつか正さねばならぬ、今がその時なのだ。

証拠が間違っている時だけ言うが良い、減刑致す、それ以外の苦情は受け付けぬ。」


ルーズは覚悟を決めていた、マックスが裁く貴族はあまりに多いが、それはそれだけ国民に負担をかけていたに過ぎない。

建国以来の歪みを正すには痛みをともなうが、いつかはやらねば国が滅びる。


幸い今回は圧倒的武力のマックスが汚れ役を引き受けてくれている。

マックスとて先祖からの血の繋がりがあろうとも関係なく罪を裁いているのだ、その心痛は如何なる物か・・・


ルーズはマックスの心の痛みを察して涙する。


王の涙に奏上してきたものもそれ以上は言えなくなる。


王に奏上することも出来なくなった貴族は怯え、ただただマックスが裁き終わるのを待つだけとなっていた。


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