第495話 マックス裁判
マックスの魔の手は多くの貴族を捕縛するに至った。
大なり小なり、犯罪行為をしていた貴族はあまりに多かった。
あまりの数にルーズも頭を痛めるのだった。
「これ程の貴族が法に反しているとは・・・」
「父上どうしますか、流石にこの数を罰するには・・・」
ウインも頭が痛い、レンの一件からまさか芋づる式に次々と犯罪が見つかっていき、半数の貴族が捕縛されていた上に自身の派閥の者まで少なくない数が捕まり、ウインの元まで減刑の嘆願が届いていた。
「ウインよ、間違えてはならぬ、如何なる時も法に従うべきだ、お主の派閥だからと言って減刑しては他の者に示しがつかん、ここは耐えるのだ。」
「ですが・・・」
ウインの派閥の重鎮ミカエル侯爵も脱税の罪で捕まったのだ、ウインとしても無視をするのには厳しい相手であった。
「マックスを信じよ、あやつなら公平な判断が出来るはずだ、ワシラはマックスの判断を支持するのだ。」
マックスは武勇にしか興味が無く、どの派閥にも属していない、誰かに脅されても逆に反抗する気概もある。
ルーズの信頼に揺るぎは無かった。
マックスの元に資料が散乱していた、張り切って捕まえすぎた為に証拠だけで山積みとなっているのだ。
「マックス、どうするんだこれは?」
騎士団に集められた書類の山を見て、ネルソンはため息をつく。
「うむ、さっさと裁くしかない、何せ片付くまでカルラさんに会えないのだからな。」
マックスはこの山積みの資料を一読してはメモを書いている。
「マックスそれは?」
「こいつの罪だ、いちいち疑わしい全部は裁けん、なら確実な証拠がある分だけ先に裁く。」
マックスは自身の手元から離れれば何でも良かったのだ。
後日、証拠が固まり別の誰かが処理をするだけだ。
最初に罪状が固まったのはベルト侯爵だった。
確定したのは公金の横領、公文書偽造だった。
「ベルト侯爵、あなたの罪が確定しました。」
「マックス伯爵!そなたは伯爵の分際で侯爵の私を裁くのか!」
「そうだが何か?
さて、あなたの罪は国が予算を出した街道建設の費用を水増しして請求した、他にも堤防建設、砦の建設に至るまで、全ての施策において水増しが発覚している。
また、陛下の命令書を捏造して近隣諸国に圧力をかけ、貢物を要求した罪も確定してある。
よって横領分の資産の没収と家名断絶、ベルト侯爵は処刑することとする。
異存は無いな。」
「異存しかない!
そんなの事実無根である、そもそも我が家は建国の時から付き従う、忠義の家である。
罪に問われる事自体が間違っているのだ。」
ベルトは自身を守るために抗弁する。
「ふむ、異存は無いようだ。」
しかし、マックスは聞く耳を持たない。
「話を聞かんか!」
「聞いている、忠義の家なのであろう、ならばせめてもの慈悲だ、処刑人の手にかかるのは悔しかろう、俺の手で処刑してやる。」
「へっ?」
「再審要求されると時間がかかるからな、さっさとやってしまおう。」
マックスは剣を抜いている。
よく見ると部屋の防水されており、部屋の隅には血が流せるように排水口が用意されていた。
「マックス伯爵?そ、そなたは何を・・・」
ベルトは少し後ろに下がる。
「すぐに終わる、なるべく痛くはしないでおこう。
床の染みでも数えていろ。」
「止めろマックス!血迷っ!」
マックスはさっさと首を斬り落とす。
「さあ、次の裁判だ、早くやらないと終わらないぞ。」
マックスの剣は無慈悲に貴族を斬っていく。
マックスが行う裁判はあまりに血が流れた為に鮮血裁判として歴史に名を刻み、貴族にとって恐怖の裁判となるのであった。
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