第494話 戦力増強

「待てよ!俺も買っていけ、絶対役に立つから!」

「いえいえ、反抗的な者はいりません。」

「そんな事を言うなよ、俺は伯爵の血を引くものだ、必ず役に立つ。」

「僕たちに貴族の血は必要ないんです。」

「えっ、いやそんなはずが無いだろ、伯爵だぞ、伯爵の血なんだぞ。」

「認知もされていない伯爵の血なんて、何処で使えると?」

「いや、相手を脅したり・・・」

「脅すなら実力でやりますよ。相手が伯爵本人だとしてもね。」

「伯爵にも・・・」

「たかが血を誇る程度の貴方にはわからないかもしれませんが。」


ノーマンは少し考える。

そしてあらためて頭を下げる。

「頼む!俺を連れて行ってくれ!」

「ですから、僕たちにあなたを連れて行く理由がありません。」

「頼む!俺はでっかくなって俺を奴隷に落とした伯爵に一泡吹かせたいんだ。

このまま鉱山に行って死ぬなんて嫌だ!」

「・・・言っておきますが、僕たちと来たところで、その伯爵とやり合う訳ではありませんよ。」

「それでもだ、お前もその歳で伯爵とやり合うなんて大きい口を叩けるようになったんだろ?

俺もそうなりたいんだ!」


「仕方ない、商人さんこいつももらいます。

ノーマン俺たちと来る以上、その性根は叩き直す、いいか!」

オットーは威圧しながらノーマンに話す。

ビビりながらもノーマンは返答する。


「わ、わかってる、頼む!」

オットーは少し折れる、どうせ性根は訓練で叩き直される、ヨシノブに会わせるまでには中々いかないだろうが・・・


子供達はヨシノブの言いつけ通りに全ての奴隷商から子供を買い取っていった。

ヘルマンを筆頭に子供達はこれを機に戦力の増強を考えていた。

ヨシノブが動くことが無いようにするには多方面に人員が必要だった。


それでも面会して改心出来そうに無いと感じた者は買い取らなかったが・・・


そして、まずは鬼の住む、亀の上に連れてくる。

奴隷達を待っていたのはハートだった。

「貴様らはウジ虫である、人になりたくば俺の命令にイエスで答えろ。」


「なんなんだ、こいつは・・・」

「誰が私語を許した!」 

ハートはムチでシバク。

「いてぇ!」

「痛いか!だがそれはまだ生きている証拠だ!痛みを感じるうちに人になれ!」

「こ、こいつ、イカれてやがる!」

「誰がお前に意見を求めた!

お前たちはイエスだけ、喋ればいい!

まずは俺がいいと言うまで走り続けろ!」

「な、何を・・・」

「走らんか!」

ハートは新入りの心をへし折りにいく。

訓練が終わる頃には反抗的な態度の者はいなくなる。


そして、疲れた身体を引きずり、用意された宿に戻ると甘いお菓子が用意されていた。

「皆さんお疲れ様ですね、こちらを皆さんの為におとうさんが用意してくれました。

感謝して食べてくださいね。」

リミが優しい笑顔と甘いお菓子で懐柔する。

文字通り飴とムチであった。


しかし、奴隷だった者達に効果は覿面だった。

訓練を続ければ続けるほど、奴隷達はヨシノブに感謝を覚え、反抗する意識が無くなっていくのだった。

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