第493話 ドワーフ探し。

マックスが街で貴族相手に暴れている中、俺は屋敷でヘルマンと話していた。

「ヘルマン、子供達の中にドワーフっているの?」

俺はドワーフの子供と普通の子供の違いがわからなかったので、子供の代表を努めているヘルマンに聞くことにした。

「ドワーフはいませんね、子供とはいえ手先が器用なドワーフには価値がありますから孤児としてうろついていたらすぐに捕まって売られてしまいます。」

「奴隷として売られているの?」

「ええ、エルフと違い、ドワーフは法に守られてませんからね。」

ドワーフは個人意識が強いあまり、他のドワーフに興味を示さない、エルフのように一族を上げて抗議するような事も無いので法整備が行われていないのだ。


「なるほど、ヘルマン、王都で奴隷を売っている所を知ってるかい?」

「はい、街の事は全て把握しています。

ドワーフを売っている店ですよね。」

「それもあるけど、できるだけ子供は奴隷から解放してあげたい、幸い資金に余裕はあるからね。」

俺は自身で罪を犯していない子供を助けようと考える。


「わかりました、すぐに手配します。」

「いや、俺が行くよ。」

「おとうさんは屋敷から動かないで下さい。

もし何かあったらどうするんですか?」

「いや、俺が危ないならお前たちも危ないんじゃないかな?」

「僕たちは慣れています。

おとうさんは油断が過ぎるのでダメですよ。

資金を使う許可だけ下さい。」

ヘルマンも俺が出かける事を良しとしなかった。


指示を受けたヘルマンの行動は早い。

ヨシノブが変に動く前に三人一組で奴隷商を当たる。

「15歳までの子供を売ってもらいたい。」

「何だ、ガキか、親を連れてこい。」

「金は持っている、さっさと出せ、さもなくば実力行使で連れて行くぞ。」

オットーは金貨の入った袋を出すが、いつでも撃てる構えをしている。

「金があるなら売るが・・・って、その格好はヨシノブさんの子供達か?」

奴隷商は金貨を出したことで真剣に向き合うと子供の身なりに気付き、ヨシノブの子供ということに気づく。

「そうだが、その事が関係あるか?」


「ヨシノブさんの所なら問題ない、全員買う気かい?」

奴隷商は態度を変える、ヨシノブの話は充分に聞いている、今後の付き合いも考えると上客としての対応になるのだ。


「自分で罪を犯していない者という括りがある、ただし、本人の性格をみて判断したい。」

オットー達、子供の中では窃盗などの生きるためにした罪は罪のうちに入らない、それより大事なのはヨシノブを裏切る事が無いかだ、

必要なら教育するつもりだった。


「なんだ、てめぇ、俺と同じガキじゃねぇか!」

連れて来られた中で体格のいい男はオットーを見るなり悪態をつく。

「こら、黙れ、この子がお前を買うか決めるのだ。」

「こんな奴が・・・まあ、いい買われてやる。俺はノーマンだ。」

「随分と傲慢ですね。」

「当然だ、俺はミドル伯爵の血を引くからな。」

ノーマンはミドル伯爵の愛人の子であり、認知されなかったのだが、その事を誇りに思っていた。

しかし、街でその事を言い続けた為にミドル伯爵の圧力で奴隷落ちした経緯を持っていた。


「傲慢な男は入りませんね。他の子達はどうです?」

オットーは他の子供を見るが他の子はおとなしい子が多く問題無さそうだった。

「じゃあ、他の子を全員貰います。少し多いので屋敷の方に運んでもらえますか?」

オットーは少し多めに金額を渡す。

「わかりました、今後も良い取引をお願いします。

入荷希望がございましたらいつでもご連絡を・・・」


「ま、待てよ!俺を買わないのか?」

「そんな態度の人を誰が買うのでしょう?

まあ、少なくとも僕じゃないですね。

ところでこいつはこの後どうなりますか?」


「こいつですか・・・反抗的ですから、近々鉱山に送るか検討中ですな。」

「えっ、俺は鉱山に行かされるのか?」

ノーマンは軽く震える、鉱山に行かされた奴隷は過酷な労働に駆り出され、十年もしないうちに死んでしまうと奴隷の中で言われていた。

「そうですか、では短い人生、頑張ってください。」

オットーはその場を離れようとするのだった。


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