第492話 マックス襲撃止まらず。
ビザ家の襲撃に貴族達の中で戦慄が走る。
常識を無くし、物理を推し進めるマックスに説得する術を思いつかず、防衛手段がない。
しかも、当主は国により軟禁状態だ、直接の指示を受けることが出来ず、マックスの襲撃をただただ受けるだけだった。
だが、このマックスの行動は貴族の横暴に苦しめられていた住人からは好意的に受け止められる。
今回マックスが襲撃している貴族は大なり小なり犯罪を犯している家だ。
そして、被害者の多くは身分の低い平民達であり、衛兵に被害を訴えても揉み消されたり、逆に復讐を受けるため、泣き寝入りさせられていたのだが、その貴族が没落していくのである。
しかも、配慮の足りないマックスは捕まえた者を縄で縛り、街を堂々と歩かせる為、
貴族やその家族、それに関係する者達が屈辱に顔を歪める姿を見ることができるのである。
次々に捕まる貴族の中にはわずかながらの抵抗をするものもいた・・・
「マックス伯爵、貴方は貴族に対する心配りを持たないのですか!
私は4代前の王家の血に連なるものですよ!」
捕まえたベルト侯爵夫人、ロレッタがマックスに抗議をするが・・・
「何を言う、お前も違法に手に入れた金で豪遊したのであろう。
王家の血だか知らんが、俺にそんな話は関係無い。」
マックスは欠片も気にもしない、隣で聞いているネルソンの胃が痛むだけだった。
「くっ!このロリコンが!
いいでしょう、貴方に私の末娘スザンナとの婚約を提案します。
貴方が熱を上げていると噂の平民上がりの幼女より美しく、王家に繋がる高貴な娘です、否は無いでしょう。
代わりに縁戚となる当家を見逃すのです。
さあ、スザンナ、こちらにいらっしゃい。」
呼ばれたスザンナは怯えながらもロレッタの元にやってくる。
スザンナはまだ11歳であったが将来は美しくなるであろう顔立ちをしていた。
「カルラさんを貶めた上に、この私に婚約を薦めるだと・・・」
「そうです、些か家格が足りませんが、騎士団長ということで考慮して差し上げましょう。」
「ふざけるな!これ程の侮辱を受けるとは許せん!」
「なっ!私の愛娘との婚約が侮辱ですって!」
ロレッタはありえないと憤慨する。
スザンナは歳は若いとはいえどこに出しても恥ずかしく無い娘だ、ウインかルクスの歳が近ければ王家との婚約も狙えると考える程だった。
「スザンナ嬢がどうという事では無い、私の心を侮辱したお前の話だ!覚悟は良いのだろうな。」
マックスは腰の剣に手をかける。
「ヒィ!貴方は武器も持たぬ女を斬ると言うのですか?」
「俺は師匠の教えもあり、男女平等になったんだ。」
アキラの教えを受けているマックスは更に危険な男へと変貌している。
殺気を漲らせるマックスの前にスザンナが立ちはだかる。
「お、お母様の非礼はお詫びします。ですのでどうかお怒りをお鎮めください。」
震えながらも母親を助けようとマックスの前に立ちはだかる姿は皆の心を打つ。
「その勇気見事、スザンナ嬢の心意気に免じて、先程の無礼は聞かなかった事にしてやる。
さあ、連れて行け!」
兵士は腰を抜かし、漏らした状態のロレッタを無理矢理立たせて、連行する。
「お母様!
どうか兵士の方々、あまりご無体な事はお許し下さい、あまりお母様は身体がお強く無いのです。」
フラフラしているロレッタを支えるようにしながらスザンナも一緒に連行されて行くのだった・・・
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