第483話 国内整理
平和に過ごしている俺を置いて王都では混乱が起きていた。
レンが自身と交流のある貴族を巻き込んでルーズに直訴したのである。
レン曰く、長年の忠誠を軽くみるルーズを非難し、ヨシノブとの友好のあり方を責め、改める事を訴える。
「・・・こいつはどれ程愚かなのだ。」
レンの直訴はルーズの元に届きはしたが大臣及び官僚に至るまで呆れるばかりであった。
「陛下、此度の直訴に関わる者たちの殆どが汚職など、何かしらの違法行為を行っている者です。
これを機会に取締り、力を削ぐべきかと。」
「この者たちの罪状はいかになっておる?」
「犯罪の隠蔽から始まり、司法への不当介入、贈賄、脱税、横領と様々ございます。」
大臣はサラリと言うが、それ程の罪状が有りながら放置していたことが問題だった。
「それ程になるまでなぜ対処しておらんのだ。」
「かの者達は建国の功績を盾に権勢を振るっておりましたうえに、
今までは騎士団の中にも奴等の手の者がおり、調査を妨害されておりましたが、アキラ氏の訓練により邪心あるものは心と骨を折られており現在動けないときております。
取り締まるなら今が好機、全員捕まえてしまいましょう。」
「ワシの不徳じゃな・・・よし、これを気に不正を正す、証拠のある者は全て裁判に持ち込むのだ。」
「陛下、一つ問題があります。」
「何だ?」
「司法にも奴等の手が回っておりますれば・・・」
「無罪になりかねんと?」
「そこまでは・・・ですが、都合よく減刑するということはあるかと。
また、報復行為を恐れて並の文官では裁ききれないかと。」
「頭の痛い話だ・・・うむ、報復が怖いなら報復出来ん者に裁判長を任せるか。」
「そのような方が?」
「マックス伯爵だ、あいつなら報復されてもやり返す事が出来る。
それにあいつは買収などされんからな。」
マックスは清廉な男として長年周囲の信頼を得ていた。
ルーズは臨時の裁判長としてマックスを任命することにしたのだった。
「マックス伯爵が帰ってきたら裁判を執り行えるように関係者全てを捕縛、証拠も集めて置くように。」
「かしこまりました、直ちに準備しておきます。」
「さて、愚か者の扱いはこれで良いと思うが、ヨシノブへの謝罪はどうすれば良いと思うか?」
「単純に考えれば金銭にて補償なさるべきかと思いますが・・・かの御仁が喜ぶかと言えば・・・」
「無欲なのも困った物だ・・・、いっそ宝物でも求めてくれたほうが助かるのだがな。」
ルーズは乾いた笑いがでる。
苦悩の日々は続くのだった。
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