第482話 連絡
「ルクス様、王都に来ておられたのですか?」
ルクスが王都にある、ヨシノブの屋敷を訪れると管理を任されているアドナーが出迎えてくれる。
「ヨシノブに連絡が取りたいのだができるか?」
「ローザさんに仰られれば叶うかと。」
「わかった。」
ルクスは管制室に向かい、連絡用に屋敷に残っているローザに事情を話して連絡を取ってもらう。
「ヨシノブ、怪我をしたと聞いたが無事・・・なようだな。」
モニター越しに見えるヨシノブは元気そうだった。
「ありがとう、子供達のおかげで無事だよ。
ルクスにも心配かけたみたいだね。」
「私は構わないが・・・ヨシノブ、私の婚約者シリアが迷惑をかけてすまなかった。」
ルクスは深く頭を下げる。
「まあ、そういう話になるよね、こちらもルクスの婚約者に対して行き過ぎたかも知れない、お詫びしておくよ。」
「いや、事情を聞いたが、悪いのはシリアの方だ。
まさか私がいないとあんな風になるとは・・・」
「俺は実際に見てないからわからないんだけど、子供達から聞いた話だと、かなり見下していたみたいだね。」
「子供達にもあとで謝らせてもらうよ。」
「そうした方がいいかもね、それより彼女はどうなったの?」
「私との婚約破棄と現在は貴族牢に閉じ込めているが、ゆくゆくは修道院に預ける事になるだろう・・・
そこで頼みがあるのだが・・・」
ルクスは言いにくそうにしている。
「何?」
「彼女をシリアの罪を少しでいいんだ減刑してくれないだろうか?
あのような真似をしたとはいえ、長年、婚約していた身としてはまだ若いシリアを修道院に送ることは少し同情してしまうのだ。
どうか私の顔に免じて、婚約破棄で許してくれないだろうか。」
ルクスは再度頭を下げる。
「・・・いいよ、その代わり、子供達にはルクスからも謝るようにしてくれる?」
「いいのか?」
「ルクスとの仲を悪くするつもりは無いしね、ただ貸し1だぞ。」
「わかった、借りておく。返済はいつでも言ってくれ。」
「後生大事に確保しておくよ。」
俺は軽く笑い、ルクスと通信をおえた。
「ヨシノブ、あれで良かったのか?」
横で聞いていたリョウが確認してくる。
「ルクスとマインズ王国と争う気は無いしね、ある程度で手打ちにするしかないかな。
・・・それより、俺の見張りやめない?」
俺が一人で被災地に向かわないように俺を止める事の出来る誰かが側にいる。
「お前を逃がすと俺が何をされるかわからんからな、絶対に逃さんよ。」
「なぁ、親友。」
「親友はお休みだ、今は警備員のリョウだ。」
「薄情者。」
「何とでも言え、お前を逃がすとみんなに責められて地獄を見せられるんだ、逃げたいなら他の人を当たれ。」
リョウは聞く耳を持っていなかった。
「他の人と言ってもなぁ、アキラさんは足をへし折った方が早いとか言って、ヘタに動くと斬られそうだし、今回はシモもへばりついて離れなくなるし、サリナは・・・あの笑顔に勝てないんだよ。」
「おっ、妻帯者、早くも尻に敷かれているな。」
「そんなんじゃないけど、嫁さんに従った方が平和な家庭が作れるらしいぞ。
リョウもよく覚えておけよ。」
「放蕩者の旦那を持ってサリナさんも大変だな。」
「嫁さんが多数いるリョウに言われたくない、アズサさんも大変だろうよ。」
リョウがからかって来たので俺も返す、基地にいる俺達には平和なときが流れていた。
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