第476話 緊急事態は突然に

子供達を叱ったあと、みんなでお菓子を食べていた。

「あれ、カエデちゃん顔色悪いけど大丈夫?」

「だ、だいじょうぶですよ、あはは、少し疲れたのかな?」

俺は顔色が悪いカエデを気にして声をかけたのだが・・・

「ヨシノブさん、大丈夫ですよ、カエデは自業自得なんですから、少しは反省したほうがいいんです。」

「マイちゃんがそう言うならいいけど、困った事があったら相談してね。」

「はい、その時は相談しますね。」

マイの言葉にカエデが少しビクッとなっていた。


「おとうさん、ほらこっちで食べよ。」

リミが俺の手を引きカエデから引き離すように俺をケーキの所に連れてくる。

「はい、あーん。」

カルラがケーキを出してくるので俺はいただく。

「これ美味しいね。」

「良かったです、これ私とリミで作ったんですよ。」

「二人ともすごいね、こんなに美味しく作れるようになってたとは。」

「にゅ!シモも、シモもするのよ。」

シモもケーキをとり俺に差し出してくる。

「シモ、いただくよ。」

俺はシモからも食べさせてもらう。


「おーヨシノブ、若い女の子を侍らせてハーレムだな。」

リョウが笑いながらやってくる。

「娘に囲まれて幸せな家族団らんに何を言う。

そもそもハーレムはお前の代名詞だろ?」

「やかましい!俺は・・・」

リョウの言葉を遮るようにアラームが鳴る。

「何事だ?」

俺が確認を取ろうとすると、管制室に待機していたローザが駆け込んでくる。

「おとうさん、火山に残してきた計測器が異常な数値を出したあと、計測不能になりました!」

「何だって、映像は送られて来ていたかい?」

「少し待ってください。こちらです。」

部屋のモニターに映像が映し出される。

「計測器が壊れる前の時間から・・・」

映像には噴火の瞬間が収められており、噴火の際に飛んできた岩が当たるまで噴火の様子を映していた。


「おとうさんが言っていたのはこれの事か・・・」

子供達は山が火を噴く映像に言葉を失っていた。


「ショウくん、デーニッツ船の準備をしてくれ、もう一度救助に向かう。」

「ダメです、おとうさんは基地にいてください!」

「でも、まだ人が残っているのだろ!」

「おとうさんが行って怪我したらどうするんですか!

それにまだ怪我が治って時間がたってないんです。

絶対に行かせません。」

俺は無理にでも行こうとするが子供達が抱きついて来て離れない。


「サリナ、なんとかしてくれ。」

「はい。」

サリナは俺にハルノブを抱っこさせる。

「サリナ?」

「怪我して帰ってきた主人をそのまま出すわけにはいきません。

今回は子供達の意見に賛成です。

人助けもいいですが、少しは身体を大事にしてください。」

助けに行こうとした俺は家族に引き止められすぐには動けなかった。

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