第447話 騒動
「ショウ兄を殴ろうとするおテテなんていらないのよ。」
シモがマカロフの腕を斬り落としていた。
「へっ?ぐわぁぁぁぁ!」
マカロフから叫び声が上がる。
「ショウ兄、こいつを海に捨てるけどいい?」
オットーは無情にショウに確認する。
「構わない、ただ血を艦内にこぼすと掃除が面倒だから止血だけしておいて。」
ショウも同情することは無かった。
「了解。」
「な、何をする。や、やめろ、止めてくれ!」
マカロフを捕縛して連行しようとするところにシリアが駆け込んできた。
シリアの元に住人の代表が騒いでいると連絡が入り、慌ててやってきたのだった。
「ショウ、マカロフ、これはどういう事ですか?」
「シリアさんの知り合いですか?」
ショウはシリアに質問する。
「ええ、ズムの街で商会の取り纏めをしていた者です。
それでこれはどういう事なのでしょうか?
私達に危害を加えたりしないと言う約束は嘘だったのですか?」
「このマカロフは俺達に船をよこせと命じて来ました、もちろん明け渡す気はないと伝えた所、俺に殴りかかってきたので腕を斬り飛ばし、捕縛したしだいです。」
「そ、それは・・・マカロフが悪い事は認めます、ですが斬る必要なんてないのでは?」
「甘いですね、もし、こいつが住人を扇動したらどうしますか?
そもそも、船を奪うと宣言したものを船に置く気はありません。
このまま下船してもらうつもりです。」
「下船って、ここは海の上では無いですか・・・」
「もちろん、海の上です。ですがそれが何か?」
ショウからシリアにも冷たい気配が流れてくる。
「せめてどこかの街に降ろすぐらいの慈悲はないのですか!」
「あいにく、この船は本拠地に最速で向かってますので、他の街による余裕なんてありません。」
「本拠地って、ルクス様の領地に向かっているのでは無いのですか!」
「そちらは後です。今は本拠地に向かうことが最優先です。
住人をルクスさんの領地に連れて行くのはその後です。」
「そんな話聞いてないです!」
「そうでしたか、ですがルクスさんの所に送ることは間違い無いです。少々我慢していただきたい。」
シリアはこのままルクスの元に行くと思っていた為、少々不満がでる。
しかし、ルクスの名前を出すことは憚られ、住人の気持ちを交渉材料にすることにする。
「・・・住人にはこの環境に耐えていろと?」
「この環境といいますが、食事もちゃんと出していますし、何も強要することはしてません。
日の光を浴びたければ甲板に出ることも許可してます。
これ以上何を求めるのですか?」
「それは、食事の種類とかお風呂でしょうか・・・
娯楽なども無い船内に長く滞在するのは皆さん苦痛なのです。」
「・・・避難民がそこまで要求しますか?
食事の種類を増やすのはこの数を相手に現実的ではありません。
確かに風呂は提供したいところですが、現在使用することは出来ません。
そもそも海の上で風呂を要求するほうが間違っていると思ってください。
そして、娯楽ですか・・・
あなた達は何様ですか?
こちらの事情を考慮せず、要求だけ突き付けて来るなら、俺達はどこまででも冷酷になれますよ。」
ショウの言葉に子供達から殺気が漏れ出す。
ヨシノブの意識が戻らない緊急事態に全員冷静さを失っており、比較的理性的なショウですら余裕の無さから冷酷な対応を選びかねなかった。
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