第446話 艦内トラブル

「サリナさん、うちの爺さんが迷惑をかけて申し訳ございませんでした。」

テルは深々と頭を下げる。

「テルさん、ヨシノブさんを助けられるって話は本当ですか!」

「診てないから絶対と言えないのが辛いですけど、多分大丈夫ですよ。」

「お願いします、どうか主人を助けてください。」

「任してください、準備をしたいので1室借りて良いかね?」

「はい!どの部屋でも使ってください、」

テルは部屋に色々文字を書き込み始める。


「あのテルさん何をなさっているのですか?」

「まずは部屋を、清める必要があるからね、地脈の流れを誘導してこの部屋に気の流れを呼び込むのさ。」

「はぁ・・・」

サリナは説明を受けるがよくわからなかった。


「大丈夫ですよ、すぐに治せますから。」

テルはヨシノブが到着するまでに準備を万全に整えるのだった。


いずも艦内では避難民と子供達に溝ができていた。

ヨシノブの事で余裕のない子供達に避難民達はアレコレ要求してくる、避難民達に開放している格納庫とデッキにテントを張っていたのだが、部屋を要求する者、配布している食料に文句をつける者、そして、立入りを禁止している区画に侵入してくる者。


その都度、対応に手を取られる子供達はストレスを溜めていた。

いらつく両者に・・・

「責任者はどこだ、話がある!」

避難民の中で身なりのいい者が代表を名乗り始め、対談を要求する。

うんざりしながらも、子供達はショウに伝えてショウは対談をすることになる。


「えーと、現在この船の責任者を勤めるショウです。あなたは?」

「なんだ、また子供じゃないか・・・

私は住人代表、マカロフだ、私が要求するのは住人達のより良い暮らしと自由、そして、今後の保証だ。」

「より良い暮らしと言われましても、この船にいるのは移動する一時の間だけです。

暫くの間は我慢していただきたい。」

「我慢しろだと!我らを物のように閉じ込めておいてその言い草はなんだ!」

「閉じ込めてと言われましても、甲板に上がる事を止めてはいないはずです。」

「そんな話じゃないんだ、聞くところによるとこの船には食堂や風呂もあるそうじゃないか、そこを私達にも開放してもらいたい。」


「艦内にはお見せ出来ない物もありますので、艦内の区画を自由にさせる事は出来ません。」

「子供が何を言っている!お前たち子供に任せるからおかしな事になるんだ、えーい!これより君たちは私の指示に従ってもらう!」


「・・・えーとマカロフさん、何を言っているのでしょうか?」

「マカロフ様と呼べ!君たちみたいな子供は大人に従っていればいいんだ!

今この時より、この船は私の指揮下に入る。

いいな!!」

マカロフはまだ若く、柔らかに話すショウを見下していた。

その上、艦内には子供しかおらず、鬼の姿も無い、それならばこの船を手に入れてしまえばと安易に考える。


「マカロフさん、最後に確認しますが今の発言取消すつもりはありますか?」

ショウは柔らかな雰囲気を消してマカロフと話す。

「なんだ、ガキが大人を脅す気か!」

「脅す気なんてありません。

ただ、船を奪おうとする者への扱いが変わるのは当然だと思いませんか?」

「生意気な事を言うな!」

マカロフは拳を振りかざしてショウを殴ろうとする。

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