第445話 テル合流
「爺さん、あんたは何で人様のお子さんを勝手に連れてきているのかね!」
翌朝リョウの祖母テルはアズサの家に着いてすぐにアキラを叱り始める。
「いや、婆さんや、ヨシノブの子はワシの孫も同然で・・・」
「ヨシノブさんはあんたの子かい!」
「いやちがうが・・シモちゃんはワシの孫も同然で・・・」
「シモちゃんも他所様の子じゃないかね!それをあんたは・・・」
「婆ちゃん落ち着いて、そんなに怒ると身体に悪いよ。」
リョウは怒りすぎて血圧が高くなっているだろう、テルの身体を心配する。
「リョウ、あんたがいながら何をしているんだい。
人様の子を連れて来てはいけないぐらいわからないのかい!」
「め、面目ない・・・」
怒りはリョウにも向く。
しかし、身体を心配するミウとアズサ達になだめられて少し落ち着きを取り戻す。
「はぁはぁ、まったく男達は何をしているのだか・・・」
「バァ、ダー!」
椅子に座り息を切らすテルにラルフに乗ったハルノブがやってきて裾を引っ張りながら声をかける。
「この子が爺さんがさらってきた子かい?」
「はい、ヨシノブさんのお子さんでハルノブくんです。」
アズサが答える。
「いや、さらって来たとは人聞きの悪い・・・ハルくんが来るといったから・・・」
アキラはあくまでもハルノブの意思と伝えようとするが、
「こんな赤ちゃんが意思を伝えたりできないでしょう、ほら、ごめんなさいハルノブくん、うちの爺さんが迷惑をかけてしまって。」
「だ?だー。」
悲しそうにするテルをなだめるように手を伸ばしテルの膝をさする。
「おや、慰めてくれるのかい?優しい子だね。」
「だぁー。」
「テルさん、ハルノブくんはどうも人の悲しんでいるのがわかるみたいなんです。
ですから、なるべく悲しまないようにしてください。」
「この歳でかい?本当にいい子だね。」
テルはハルノブを抱きかかえ優しく撫でる。
すると、ハルノブは笑顔を見せて笑い始めた。
「リョウ、早く行くよ、この子を早くお母さんの元に帰してあげるのよ。」
「もう少し待ってよ、婆ちゃん。
まだ四時間は動かせない。」
「使えないねぇ・・・仕方ないまずは親御さんに謝罪しないと、電話が出来るのかい?」
「こちらで電話が出来ます。」
アズサは電話のある部屋に案内する。
しかし、電話先は慌ただしい様子だった。
「アズサさんですか!すいません今取り込み中でして!」
電話に出たカエデが状況を説明してくる、
どうやらヨシノブがケガをして治療がままならない様子だった。
「ふむ・・・話を聞く限り、刺された剣とやらは呪われてでもおったのかのぅ。」
アキラはカエデの話から見当をつける。
「アキラさん!何か知っているのですか?」
「うむ、見たわけではないから絶対とは言えんが、斬られて治らんのは呪いの可能性が高いのぅ。」
「知っているなら治療方法も!」
「うむ、簡単なのは呪われておる部位を斬り落としてしまうことじゃな。」
「でも、お腹を刺されているそうで・・・」
「斬れんのなら、婆さん、何とかしてやれるかのぅ。」
アキラはテルに聞く。
「診てみないとハッキリ言えないけど、大抵の呪いぐらいなら何とかするよ。」
「できるんですか!」
「よくある事ですからねぇ。爺さんが迷惑をかけた償いもありますし、何とかしてみせますよ。」
「お願いします!今屋敷中がパニックになってまして、サリナさんも心痛から倒れてしまって・・・」
「それはいかんねぇ・・・なるべく、早くそちらに伺うから、サリナさんに気を落ち着けるように伝えてもらえるかい?」
「はい!お願いします。」
そして、電話をおえて・・・
「さて、リョウ早く行く準備をしなさい。」
「だから、まだ時間が・・・」
「出来次第いくよ、爺さんもさっさと乗る!」
テルに促され、全員早めの搭乗を行い、動けるようになった瞬間に旅立つのだった。
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