第442話 降臨
「リョウ、お帰りなさい。随分遅いお帰りですね。」
帰るとすぐにアズサがやってきた。
「あはは・・・ちょっとお出掛けが長引いちゃって。」
「帰ろうと思ったらもっと早く帰れたと聞きましたが?」
「・・・その情報はどこからかな?」
「先程、サリナさんから連絡をいただきましました。
そのことはあとで、ジックリとお話しますけど・・・」
アズサはアマテラスが抱いているハルノブを見る。
「まずはハルノブくんをベッドに寝かす所からですね。
ベビーベッドの用意が出来てますので、こちらに・・・ってどなたですか?」
「あっ、アマテラスと申します。これがヨシノブさんの赤ちゃんです。
見てください、かわいいですよね〜♪」
・・・いきなり現れた女性にアズサは困惑している。
アマテラスは困惑するアズサをおいてハルノブのホッペタをつついたりしてデレデレしていた。
「ワシから敵意もなく、ハルくんを盗るとは中々やるのぅ。じゃがワシは渡す気はないぞ。」
アキラは刀を構える。
「ダメですよアキラさん、ハルくんが泣いちゃいますから。
それに私はヨシノブさんの関係者です。」
「関係者?」
「はい、そうですね、ヨシノブさんを庇護している者と言うべきでしょうか。」
アキラの殺気をサラリと受け流し軽く話している。
そこでリョウが気づく。
「アマテラスって!ヨシノブに加護を与えた、天照大神!!」
「はい、正解です。」
「な、なんで神様がここに!!」
「アキラさんがこちらに向こうで産まれたハルくんを連れて来るから慌てて来たんですよ。」
「それはどういうことですか?」
「向こうはこちらより格が低い世界なんです。向こうで産まれた者はこちらに来ると力が低下するんです、強者ならそれでも耐えれるからいいんですけど、力の弱い人はそのまま亡くなってしまうこともあるので。」
アマテラスはハルくんを優しく撫でて。
「産まれたばかりのハルくんに耐える力は無いですから、私が来て加護を与えたのです。
これでハルくんは私の子供です。」
アマテラスは胸を張り嬉しそうにしている。
「えーと、アマテラスさん、なんで嬉しそうなの?」
「向こうにいたら加護を与える機会なんて中々来ないですから。」
「そうなんですか?」
「ええ、色々制約がありまして・・・ですが、日本なら私の管轄です。少々無茶でもお小言ぐらいでオッケーです。」
「お小言はもらうんですね・・・」
「ちょっとだけですよ。それに他の神様もよく異世界に拐われる日本人に同情的ですから・・・」
少し世界の不条理が漏れるのだった。
「姉さん!また地上に来てはいけないじゃないか!」
今度は男性が1人現れる。
「ツクヨミ、堅いことを言わないの。たまにはいいじゃないですか。」
「この前、ヨシノブとかいうやつに手を貸しすぎて怒られた所だろ。ほんとにスサノオにしても人に関わりすぎてるよ。」
「いいじゃないですか。日ノ本の民は私達の子供ですよ。
子供に手を貸すのは当然です。」
「そこの子供は日ノ本の民じゃないだろ?」
「・・・ま、孫も日ノ本の人間です。」
「あの世界の神がまた理不尽な要求をしてきたらどうすんだ。」
「あはは・・・」
アマテラスは笑って誤魔化す。
「本当に、笑い事じゃないんですから、ほら帰りますよ。」
「待ってツクヨミ、もう少しダッコさせて。」
「ダメです、本当に姿を見せるのも良くないというのに・・・」
ツクヨミはブツブツ言いながらアマテラスを連れて姿を消すのだった。
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