第443話 理不尽

「えーと、リョウどうなっているのかな?

私には天照大神と月夜見尊が現れた気がするんけど。」

アズサの表情は引きつっていた。

「大丈夫、俺にもそう見えたから・・・」

「大丈夫じゃないですよね!普通は現れたりしないから。」

「ヨシノブが普通じゃないと思ってほしい。」

「・・・リョウの親友だもんね、普通じゃないのは当然なのかな?」

「異議あり!」

リョウは手を上げ意義を申し立てるが・・・

「異議を却下します。」

アズサはリョウを異議を却下してハルノブを見るが、ハルノブは庭にいた鹿のアントの背中にまたがっていた。

「ちょ、ちょっと、なんで少し目を離したスキにこんな事になってるの!」

鹿の背中から落ちたら一大事だ、

アズサは慌ててハルノブをダッコする。


「アズちゃん慌てすぎだよ。アントくんが落としたりしないよ。」

「リョウはなんで落ち着いているの!」

「爺ちゃんがそこで見てるからね、落ちる前に助けるのはわかっているし。」

「はぁ、いい私は一般人なの、リョウみたいに異常な動きは理解できないからね。」

「俺も一般人・・・」

「それより、サリナさんに無事についたと連絡しないと。」

アズサはハルノブを抱きかかえ、家に入って行く。

「ちょっと待ってよ。」

リョウもアズサに続き家に入るのだった。


「良かった、無事に日本に着いたのね。」

サリナの瞳に涙が浮かんでいる。

「心配かけました、それと爺さんがすいません。」

リョウは頭を下げる。

「リョウさんが悪い訳じゃありません、それよりハルノブの事を宜しくお願いします。」

「それは任せて、帰るまでしっかり預かるよ。」

「お願いします、ハルノブ、いい子にしてるのよ。」

モニタ越しにサリナがハルノブに手を伸ばす。

ハルノブもサリナを見て手を伸ばしていた。


「ふむ、流石に親子を引き離すのはいかんな、リョウ、テルが来たらさっさと帰るぞ。」

諸悪の根源がなんてことはないように伝える。

「爺さんが引き離したんだろう!本当なら今すぐにでも帰りたい所なんだが!」

天鳥船の次の起動までインターバルが設けられており、次に動くのは早くても翌日になる予定だった。

「軟弱な乗り物じゃな。」

「異世界に行けるだけでも充分だよ。」

「アキラさん、帰ったら少し反省してください!」

サリナはアキラに怒っているようだった。

「サリナさん、ワシは悪気はないんじゃよ。」

「いえ、今回は悪気があろうと無かろうと関係ありません!シモにも伝えて叱ってもらいますから!」

「ま、まってくれ、シモちゃんに嫌われたら老い先短い余生の楽しみが無くなるではないか!」

「それぐらいの事をしたんですよ!わかってますか!」

「わかった、わかったからな、怒るのをやめてくれ。

そうじゃ、何か欲しい物があったら持って帰ってやるぞ。」

「いりません!早くハルノブが帰って来てくれたらそれでいいですから。」

「すまんかった!怒らんでくれ。」

アキラはサリナに謝り続けているのだった。

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