第365話 二条家

三浦が調査した結果、宮内省の意向を受けた川上がヨシノブに連絡をしたのが明らかになった。

そこで三浦は宮内省の重鎮であった二条金星を呼び出す。

彼は古来よりの旧家であり、役職に関わらず宮内省に意見、指導する立場をえていた。

「二条さん、今回のような一件は政府としても困ります。」

「何を言うか、皇家に従うのが宮内省の役目、我らは職務を全うしたにすぎん。」

「ですが、異世界の件は国民の興味もあり、非常に難しい扱いなのです。

もし、皇家が理不尽な要求をしていることが漏れたらどうするのですか?」

「愚民共には騒がせて置けば良い、どうせネットの書き込みなどは規制すれば良いだけだからな。」

「ですから、そのようなやり方が国民の不信感を煽っているんです。

今まで通り、御簾の向こうで静かにおられることはできないのですか?」

「皇家に自由は無いと言うのかね、それこそ人権侵害だ。」

「自由とおっしゃるが皇家の特権を振りかざし、自由を求めるその姿勢が反感を買うんです。」

「貴様、ワシを誰だと思っておる!名家の力を侮ると貴様の政治家としての命がないと思え!」

二条は怒り狂い話し合いにもならなかった。


三浦はどうしょうもないと判断して新たに変わったヨシノブの番号は政府では三浦、自衛隊だと山本しか知らないようにしたのだった。

これにより情報がもれなくなる。


二条はさらに怒り、三浦を脅し選挙区を荒らそうとするも、ヨシノブ経由で依頼を受けた源家が三浦を庇護した。

公卿としての名家として、皇家に縋り付くしかない二条家と独立して力を持つ源家では同じ名家でも力に差があり、ヨシノブの味方である、リョウの指示の下、二条に関わる家にも圧力がかかる。


源家は敵に容赦をしない、二条家が関わる事業からの撤退、融資の取止め、株の売却などを一気に行っていく。

金星以外の一族は慌てて源家に赴き、アズサに謝罪する。

「どうか、お許しください。我々に源家に逆らう意思などありません。」

「ですが、二条家の当主二条金星は源家の婿の逆鱗に触れました、彼の者を許す事はありません。」

「どうか、お許しを、今後一切我らは金星と関わりを持ちませぬのでどうか二条家全部を潰すのだけはお許しください。」

金星以外の一族は即座に源家に謝罪をいれ、本家との縁切りを宣言し、辛うじて難を逃れた。

 

だが当の金星は自身の企業が燃え上がっていることに気付くのが遅かった。

金星が気付いた時は顧客が逃げ出し、株も底値になっており。

どうしようも無くなっていた。

「何故このような事を!」

金星は源家に止めるように伝えに行くが、

「私の主人の逆鱗に触れたのです。

その酬いは受けてもらいます。」

「この小娘が、二条家を舐めおってから!後で後悔しても知らんぞ!」

あっさりとアズサに拒絶され、激怒して帰宅するのだった。

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