第361話 糸の確保
俺は川上から上から目線で言われた事に少し腹を立てていた。
その為、復讐・・・というより嫌がらせを考えてしまう。
「マスさん、レッドスパイダーの飼育が難しいって言ってたけど何が難しいの?」
「レッドスパイダーは飼い主の力を見抜くんです、自分より強い、もしくは気に入った相手なら糸をくれるようになるのですが、そうでなければ戦闘になるんです。」
「つまり、レッドスパイダーより強ければ問題ないのですね?」
「ええ、そういう事になりますね。」
「よし、ならやるか。」
俺はマスに紹介されたレッドスパイダーの群生地になっている洞窟に着く。
「おとうさん、蜘蛛を退治するのよ?」
魔物を捕獲すると聞いてシモを始め、子供達が集まってきていた。
「そうだよ、蜘蛛の糸をもらうために強さを示さないといけないみたい。」
「おとうさんが行く必要ないのよ、おにさんこちらなのよ。」
シモは酒吞童子を呼び出す。
「酒吞、中の蜘蛛さんを捕獲して糸を出させるのよ。」
「御意と言いたいのですが、蜘蛛の捕獲なら適任者を御用意してあります。」
「誰なのよ?」
「私の盟友で土蜘蛛と申すものを、姫様の傘下に引入れてございます。どうか彼の者に活躍の機会を。」
「うにゅ、わかったのよ、どうやって呼んだらいいのよ?」
「蜘蛛さんこちらと。」
「うにゅ、蜘蛛さんこちらなのよ!」
シモの言葉に答え、黒髪美女が現れる、その姿は妖艶で思わず見とれてしまう程だったのだ。
「女性?」
「うにゅ、女の人なのよ?でも強く無さそうなのよ?」
シモは首を傾げているが、俺からしたらかなりの強さがあるように感じていた。
「姫様、お初にお目にかかります、土蜘蛛、御身の前に参上出来たこと光栄に存じます。」
「つちぐもさん、ここにいる蜘蛛さんから糸をもらってくるのよ?」
「お任せあれ、蜘蛛の化身たる我の力をお見せいたしましょう。」
土蜘蛛が手を振ると洞窟から多数の赤い蜘蛛が出てきた。
「皆、姫様の前である、礼を取るのじゃ。」
蜘蛛たちは器用に前足の一本を上げて敬礼している。
「うにゅ、みんなには糸を出してほしいのよ。おとうさんの頼みを聞けない悪い子はいるのよ?」
シモの言葉に蜘蛛たちは慌てたように糸を丸め、ボールの状態にして差し出してきた。
「みんなありがとうなのよ、また、お願いするときは頼むのよ。」
シモのお礼に蜘蛛たちは平伏?していた。
「おとうさん沢山もらえたのよ♪」
シモは嬉しそうに一つを拾い差し出してくる。
ちなみに他の糸は子供達が回収して荷台に載せていた。
「ありがとうシモ。土蜘蛛さんも協力ありがとうございます。」
「姫様の御父上なら我らの主君であるも同じ、これからも気兼ねなく命を下してくださいませ。」
土蜘蛛も恭しく礼を取る。
こうして手に入れた糸を俺は地球にいる人に渡すのだった・・・
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