第359話 日本から・・・

新基地は俺達が住み始めるまで、鬼と亀に守ってもらいながら、マインズ王国で日々を過ごしていた。

ショウとアキラは今は旅に出て四獣の残り3体を探しているようだった。

まあ、探していると言っても亀の念話で場所はわかっているようで捕獲に向かっていると言うのが本当の所だ。


「平和だな・・・」

俺は束の間の平和を満喫していた。


そんな中、自衛隊の山本さんから連絡が来たのだった。


「山本さんどうなされました?子供達の帰還はまだ掛かりそうなんですが・・・」

「いや今日はその話ではない、実は政府の方からの依頼が来ていてね、申し訳ないんだが一度話だけでも聞いてくれないだろうか?」

山本は申し訳無さそうに話してくる。


「何の話でしょう?」

「私も詳しく聞かされていないんだ、だが頼めないだろうか?」

俺は山本の表情から板挟みの苦労を感じ取った。


「わかりました、丁度最近は手が空いてますので話を聞くぐらいはしますよ。」

俺は引き受ける事にした。


「お会いできて光栄です、私は異世界担当大臣の三浦です、以後お見知りおきを。」

「異世界担当大臣?」

俺は初めて聞いた大臣名に困惑する。


「はい、ヨシノブさんの存在で異世界が確認された今、それに伴う事象を円滑に行うために新たにもうけられました。」

どうやら俺対応の大臣のようだった。


「なるほど、としか言えませんね。

それで今日はどういったご要件ですか?」

「ええ、私どもとしましては異世界にしかない物質の有効活用を目指したいと考えております。

それとヨシノブさんの能力の有効活用です。」

「前も話したけど俺にメリットはないよね?」

「いえ、そうでもありませんよ、現在あなたの能力は自衛隊の登録品の活用ですよね。

もし、自衛隊が別組織になった場合はどうなるのでしょう?

また、現在使われているものも登録抹消すればどうなるのでしょうか?」

三浦の言葉に脅されているようで少しムッとするが確かに今まで世話になってきた力だ、感謝の意味も込めて少しぐらい還元してもいいと思う。


「たしかに言われてみればどうなるかわからない所があるね。」

「そこでです、政府に協力することで正式に使用契約を結び、後ろめたい事がないようにする。

どうでしょうか?」

「まあ協力内容によるね、出来ないことを要求されてもできないし、鉱物資源だってこちらの世界を考えれば送り続けれない。」


「もちろん我々も無理なことを願うつもりはありません。

今検討しているのは植物から作られる衣類など生産できる上での新素材の捜索です。

それなら資源が枯渇することもないでしょう。」

「それぐらいならいいですけど、その程度でいいんですか?」

「ここだけの話ですが、最近やんごとなきお方を不満に思う方が増えておりまして、警備の都合、刃物、銃弾などから身を守り、なおかつ見た目になるべく変化のないものを探しているのです。

そのような物に心当たりがあれば優先的に送ってもらいたい。」

「やんごとなき方のためですか・・・」

俺は先日の化粧品をよこせと言われた事を思い出す。


「先日の事は伺っております、あれは行き過ぎた要望であり、政府としても認めるものではございません。

ただ今回は身の安全に伴うことですのでどうか検討願いたい。」

電話越しに三浦は頭を下げる。


「わかりました、ただ少し時間をください、自分も素材に詳しくないので調べてみます。」

俺は一応引き受け調査を開始するのだった。

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