第355話 ヨシノブの悩み
「サリナ、子育てって難しいな。」
「どうしたんですか急に?」
「いや、チャムに興味がある人を聞いたんだが、ショウくんとビルバインさんを上げたんだ。」
「あっ!」
「ショウくんはいいんだが、ビルバインさんは流石に年上すぎるだろ?」
ビルバイン45歳、油ののったおっさんである。
「そ、そういう意味じゃ無いと思いますよ。」
サリナは視線を逸しながら言うがヨシノブは気付いていないようだった。
「いや、人の好みだから、あんまり言いたくないけど、少しねぇ・・・」
俺が肩を落としているとサリナが後ろから抱きしめてきた。
「大丈夫です、チャムも分別がつく子ですから、それに恋愛感情じゃないですよ。」
「そうかな?」
「そうですよ、まだ恋愛感情を持つような歳じゃありませんし。」
俺はサリナの言葉に励まされ、気を取り直す。
「よし、深く考えるのはやめよう、それに子供達の中にはパウルやオットーのように格好良く育っている子もいるしな。
サリナ知ってるか?最近女の子達がパウルやオットーを熱っぽく見ているんだぞ。」
「・・・知ってますよ、きっと人気があるんです。」
サリナは冷や汗をかきながらも誤魔化していた。
「うん、そう思うと年頃の恋愛も進むか。
いや、俺の悩みすぎだな。」
俺が笑っているのをサリナは申し訳無さそうに見ていた。
「皆さんに話があります!」
サリナは女の子達を集めて強く言う。
「お、おかあさんどうしたの?」
「表で趣味を出すのは禁止にします!」
「だ、だしてないよ。」
「自分の推しの子を観察しすぎです。ヨシノブさんも気付いてましたよ。」
「「えーーーー!!」」
「まだ、バレてはいないみたいですけど、バレて禁止になっても知りませんからね。」
「うーおかあさんが庇ってくれないの?」
「私は反対派です。もう、なんでこんなのにハマるのよ。」
サリナは置かれていたパウル✕オットーの本を何気もなくパンパンと机に叩く。
「おかあさんもこっちに来たらいいのに・・・」
「いきません、趣味の範囲なら見逃していますけど、私からバラしてもいいんですよ。」
「それだけは許してください!」
「なら少しは控えてください。ヨシノブさんに誤魔化すのは辛いんですから。」
「「はーい。」」
子供達は申し訳無さそうに返事をする。
話は終わったとサリナは部屋に帰っていく。
残された子供達は口々に反省の言葉を言いながら今後の活動について話し合うが・・・
「ようはサリナさんが味方になったらいいのよ。」
カエデが黒い笑みを浮かべている。
「カエデさん、おかあさんは無理じゃないかな?」
「子供達の本だからダメなのよ。私に策があります。」
カエデはそう言い残すと自室に向かい歩いていった。
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