第353話 海にはロマンが

レイスが部下になったと噂が広まる、どうやら彼は有名な海賊だったようで、海賊界隈では衝撃を走らせると共にその手があったかと!ショウの元に海賊達が集まってくる。

「親分!」

「親分じゃない、それにトップはヨシノブさんだ。」

「ヨシノブさんは大親分でさぁ。

あっしらは親分の元、大海原で活躍するんでさぁ。」

現在ショウの元に集まっているのはアキラの訓練という名の調教を済ませた者達だった。

彼等は一度性根を叩き直され、自身の罪と向き合い、そして、地獄を見たあとで立ち上がる事が出来た者だった。

ちなみに出来なかった者は精神を病んだあと、海賊行為の罪を問われ投獄されていた。


そして、立ち上がった者は特例で罪を免じられ、今後の活躍で許される事になっていた。

今後、ショウの管理下で海運を含め、船に関わる仕事につくことになっていた。


「そういえば、親分は勇者の宝に興味はありませんか?」

海賊の一人キッドが思い出したかのように話し始める。

「勇者の宝?」

「そうでさぁ、かつての勇者が遺したと言われている伝説の乗り物があるって話でさぁ。」

「へぇー、勇者の乗り物ねぇ?それって場所がわかるの?」

「宝の地図はあるんですが、辿り着くのに何日もかかる上に本当にあるかは誰も知りませんからね。

まあ、ロマンってやつでさぁ。」

「勇者の宝ですか・・・」

ショウは考える、勇者というのがアキラを指すというのはほぼ間違いないとならば宝の事もアキラに聞けば何かわかるかもと。

そう思ったショウはアキラに質問することにした。


「ワシが乗ってた乗り物じゃと?」

「はい、勇者が乗っていたそうなんですが、何か思いつくものはありますか?」

「うむ〜とはいえ、乗り物なんぞ、そこらの竜をシバいてのっていたからのぅ・・・」

アキラは首を傾げている。

本当に記憶になさそうだった。


「無いならいいんですよ、きっと、どこか作られた伝承なんでしょう。」

「しかし、気になるのぅ〜

ショウ、探しに行くぞ。」

「えっ?」

「ワシの名を騙る以上、確認せんと落ち着かんではないか。」

「ですけど、何も思いつかないんですよね?」

「うむ、全く記憶にない。」

「それなら探されても何もないのでは?」

「何がワシの名を騙るのかが気になる。

ショウ、案内せい。」

「わかりました、ヨシノブさんに相談してから調査に入ります。」

ショウは俺に相談してくる。


「宝探しか・・・うん、いいんじゃないかな?

確かに勇者の名前を騙るぐらいだから何かあるかも知れないし。

・・・無かったら無かったで訓練もその期間無くなるし。」

「ヨシノブさん、それはどうかと。」

ショウは少し呆れていた。

「ショウくんはしてないからそんな事が言えるんだよ。

一度受けてみな、人生変わるよ。」

「や、やめときます。あんな訓練日本人には耐えれません。

僕は心を失いたくないです。」

ショウは勢いよく首を振り拒絶する。


「まあ、無理をしないように、気をつけて調査をするように、いいね。」

俺は冗談をやめて真面目な顔でショウに告げた。

「はい!」

「危ない事はアキラさんに任せたらいいから。」

「そんな事を言ってるからアキラさんにしごかれるんですよ。」

ショウは呆れるように言う。


「そうじゃのぅ・・・留守にする前にもう一度しっかりと教育しておかんとなぁ・・・」

俺の耳に地獄からの声が聞こえる、その日の記憶はそこで終わっていた・・・

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