第352話 その頃のショウ
屋敷で騎士団が訓練をしている中、ショウはミキと共にルーカス商会の商品を運びつつ、海路の調査および、海賊の撲滅を行っていた。
「ショウ、右方向に海賊行為をしている船を見つけたわ。」
「よし、救助に向かう。全員戦闘用意だ。」
乗艦している子供達と共に戦闘経験を積みつつ、海路の安全を確保する為に多くの海賊を海の藻屑と変えていた。
その為、ショウの乗るまやは商人から守護者と呼ばれ崇められ、海賊からは灰色の悪魔と呼ばれ恐れられていた。
ただ、ショウの名が広まれば広まる程困った現象が起きてきた。
各国の政府の手が回りにくい小さな島々が海賊から守ってくれるショウの傘下に入る事を表明していた。
海賊達もショウと敵対すれば、どこに逃げても大事な商売道具である船が粉々にされる事を知っており、安易に手が出せない。
いつの間にかまやに掲げられていた日章旗は各島にひるがえり、ショウの傘下に入った事を示す証となっていた。
こうなると商売上がったりの海賊の中から別の道を選ぶ者も出てくる。
「ショウさんですか?」
とある港町を歩いているとショウは呼び止められる。
護衛の子供達はいつでも反撃出来るように備えているが、
「て、敵対する意志はありません!少しお話をさせてほしくて、お声をかけました。」
声をかけてきたのは、中年ぐらいの男で見るからに海賊とわかる格好をしている。
「敵対しないって、お前は海賊だろ?」
「へい、レイスというチンケな海賊でさぁ。」
「そのレイスが何のようだ?」
「あっしをショウさんの傘下に加えていただきたく参上しました。」
「傘下?」
「へい、このままだと、あっしら海賊は上がったりでさぁ、それならいっそショウさんの傘下で輸送業でもして一旗あげようかと。」
「気持ちはわかった、ただし、上の確認がいるからな、とりあえずついて来るかい?」
「へい!お供しやす。」
ショウはレイスとその仲間を連れて屋敷へとやって来る。
「ショウくん、その人が傘下に入りたい元海賊かい?」
「元かどうかは怪しいですが、傘下に入りたいそうです。」
「うーん、どうしようか、元とはいえ海賊ということは目の見えない所で何するかわからないよなぁ。」
俺は少し悩む。
「何を悩む、悪しき心は健全な肉体には宿らない!
訓練をすればよいのだ!」
たまたま訓練に来ていたマックスが海賊の肩を掴み。
「新たな世界へ歩き出すのだ、少々の苦難は耐えれるよな。」
「もちろんでさぁ、根性だけが取り柄です!」
「ならば、来るが良い。
お前達は今日ここから新たに始めよう、1から・・・いやゼロから始まるのだ!」
マックスは満面の笑顔でレイス達を連れて訓練場に向かっていった。
「大丈夫か、あれ?」
「悪いようにはならないと思いますが・・・」
俺とショウは不安に思いつつもアキラの修行に連れて行かれるレイスを見送った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます