第346話 ルクスの悲劇
「何があった?」
ルクスの視線が痛い。
「あー、彼らの好みが開花したみたいな?」
「どうするんだよ!あいつら使い物になるのか?」
「実力だけは上がっている。アキラさんの訓練についてきつつあるからな。」
「本当か?」
「うん、終わったあとで配られているジュースを意識を持った状態で受け取りたいとか言ってた・・・」
俺は再び視線を逸らす。
彼らの病は進行しているのだ。
「ヨシノブ、悪循環だと気付いているよな?」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?
あいつら合同訓練日以外もやって来て、訓練しようって言ってくるんだぞ?
アキラさんもやる気のある奴は嫌いじゃないみたいだし。」
「肉体言語が噛み合ったか。」
嫌な意思疎通であった。
「まあ、強くなるから問題無いだろ?
たぶん世界一の軍が出来るぞ。」
「結果がロリコン団じゃ別の問題が起きる。」
「そこはこの国の女の子達の魅力に期待しよう。
きっと彼等を救ってくれる。」
俺は結末を未来に放り投げるのだった。
俺と会話していると女の子達がルクスに気付く、
「ルクスさん、帰って来てたんですか?お疲れさまです。」
飲み物の準備をしてたカルラが駆けてきた。
「カルラちゃん、ただいま。頑張っていたかい?」
「はい♪」
ルクスは何気なくカルラの頭を撫でる。
ルクス自身は子供達に恋愛感情は無い、ただ長い間、基地に一緒にいた為、子供達もルクスを兄のように慕い、ルクスも王家の肩書を出すことなく打ち解けていた。
その為、頭を撫でるのにも問題が無いのだが・・・
「うん?ヨシノブ笑顔が黒いぞ?」
「ルクス、カルラはマックスのお気に入りなんだ♪」
「・・・」
ルクスの手がそっと離れるが・・・
「ル・ク・ス・お・う・じ、お久しぶりです。」
マックスがルクスの肩を掴む。
「マ、マックス伯爵、久しぶりだな、だが、王子の肩を掴むのはマナーがなってないぞ?」
普段マナーを責めたりしないルクスが薄っすら冷や汗をかきつつ、指摘する。
「気にしないでください、それより、訓練しましょう。
ほら、木刀も沢山ありますよ〜」
「木刀は一人一本でいいんじゃないかな?
それより私は訓練するとは言っていない。」
「おかしな事を・・・訓練場に足を踏み入れ訓練せずに帰れる筈がないでしょ?
それに木刀なんぞ、当たればすぐに折れてしまう。替えは必然ですな。」
「・・・ヨシノブ!っていない!ヨシノブはどこだ!」
ルクスは辺りをキョロキョロ見回す。
「あの、おとうさんなら、さっき出て行きましたよ。」
カルラの指摘に逃走方向に視線を向けようとすると、ヨシノブではなくアキラと目が合う。
「これは王子様だったかのぅ、訓練に来るとは殊勝な心構え、特別にワシが手合わせしてやろう。」
「あはは・・・王子は剣を持つ必要は無いんだ。」
「漢なら剣と共に生きるべきですなぁ、そう思いませんか?」
「い、いや・・・私は・・・」
「そうですか、覚悟が足りないと見える、ならば、まずは生き延びる訓練から致しましょう。
全力で逃げるのですなぁ〜」
アキラの訓練を上手くかわし続けていたルクスが遂に捕まる瞬間だった。
「上手く逃げれたか?」
俺はいち早く脱出に成功したが・・・
「うにゅ?おとうさんなのよ。今からシモは訓練にいくのよ、おとうさんも一緒なのよ♪」
シモが手を握り、訓練場に連れて行くのだった・・・
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