第347話 悲劇の女騎士・・・

数は少ないながらも騎士団には女性がいる。

そんな中、アキラの訓練を終えて帰ってきた男達は皆がロリコンになっていた。


「ねえアッシュ、今度の休みだけど、一緒に買い物いかない?」

一人の女性騎士が想いを寄せている騎士をデートに誘うが・・・

「ユミナか、いや、いいや。ローザさんに誤解されたくないからな。」

「ローザ?誰それ?どこの女よ?」


「女なんてゲスな言い方はやめてくれないか、

天使だよ、俺は地獄で天使にあったんだ。」

「ちょ、ちょっと大丈夫、どこかで頭を打ったの?」

「大丈夫、俺は正気さ、今度の休みもローザさんに会いに逝くんだ。」

アッシュはあっさりとデートを断り、立ち去っていった。


そんな光景が騎士団のアチラコチラで見られた。


「何よ、ローザって!」

ユミナは同僚とやけ酒をしていた。

「ちょっとユミナ飲みすぎだよ。」

「ミミもわかるよ、この騎士団は最低だ!」

「もう、言い過ぎだよ、すいませんもう連れて帰りますので。」

ミミは酒場の主人に謝りながら代金を払い、ユミナを連れて宿舎に帰る。

「うう・・・アッシュなんでよ、ローザなんて女の何がいいのよ・・・」

酔い潰れて愚痴を吐く友人を見ていられず、ミミは後日情報を集めた。


「ユミナ、聞いてローザって女の子の居場所がわかったよ。」

「なに!それ、どこなの!どこにいるの!」

「ちょっと落ち着いて、揺らされると喋れないよ。」

一先ず落ち着けて、場所を話す。


「なるほど、郊外の屋敷ね。よし、訓練の日に乗り込みましょう!」

これまで女性には過酷すぎるので訓練対象に入っていなかった。

しかし、二人はこの日、訓練に行ってしまった。


しかし、入口で・・・

「女性ですか・・・申し訳ありません、現在女性用の訓練は行われていないのです。」

「ちょっと、ボク、それは差別じゃないかな?私達は男に負けないぐらいに強いのよ。」

「でも、止められていますので。」

「ユミナ落ち着いて!じゃあ、見学でいいから出来ないかな?」

ミミはローザを見に来た事が大事とユミナをなだめ、中に入れないか確認する。

「それなら大丈夫です。すぐに手配しますね。こちらへどうぞ。」

少年は二人を談話室案内し、確認の為に走っていった。


「カワイイ子ね。」

ミミの口からふと声が出た。

「あら、ミミはあんな幼い子が好みなの?」

「違うよ、そんな意味じゃないから、でも、精一杯頑張っている感じが可愛らしくない?」

「まあ、わからなくもないけど・・・あれ?」

ユミナは床に堕ちている薄い本を見つけてふと手に取る。

「あれ、この絵の子、さっきの子じゃない?」

「えーどれどれ?あっ、本当だ、ってすごく絵が奇麗。中はどうなの?」

二人はページをめくると中には二人の少年が絡み合う姿があった。


「えっ、な、なにこれ!」

思わずユミナは本を閉じる。

「ねぇ、もうちょっとだけ見てみない?」

ミミは興味深々でページをめくる。

「えっ、うわぁ、やだ、そんな事まで。」

気がつくとミミは一人で盛り上がっている。

「ちょっと、ミミ、止めなさいよ。そんな事しに来たんじゃないよね。」

「待ってユミナ、今いいところなの!」


「あら、興味がお有りですか?」

ユミナとミミが顔を上げると一人の少女が立っていた。

「あっ、これは・・・すいません、落ちていたのでつい読んでしまいました。」

「いえ、いいんですよ。その本はお近付きの印に差し上げます。」

「いいんですか!」

「ええ、今後、同志になられる方へのプレゼントです。」

「同志ですか?」

「はい、同好の志ですわ。

あなたも興味がお有りですよね。」

「いや、そこまででは・・・」

ミミはそこまで重くないと伝えようとするが・・・

「隠さなくてもよろしいのです、私達は仲間は匂いでわかるのです。

その本の続き、読みたいですよね?」

ゴクリ!

ミミの喉が鳴ることをユミナは気づいた。


「ミミ、あんた、正気?」

「だ、だいじょうぶ、だいじょうぶ。

でも、この本はもらっていくね。」

「かまいませんよ、ただし、男の方には秘密にしてくださいね。

それがオキテです。」

「もちろんです!」

「また、いつでもお越しください。

その際に乙女の話をしに来たと入口で言えば通れるようにしておきます。」

そう言い残すと少女は消えていった。


「あの、準備が出来ましたよ。」

「ひぃぃぃぃ!」

ミミは少年に声をかけられ悲鳴をあげてしまう。

「どうかされましたか?」

「だ、だいじょうぶね、おもわずびっくりしただけよ!」

「そうですか?では、こちらにどうぞ。」

「ねえ、君の名前を聞いていいかな?」

「僕ですか?オットーと言います。」

オットーは振り返り、爽やかな笑顔をミミに見せる。

ミミが堕ちた瞬間だった。


彼女は騎士団に持ち帰り、感染させていく。

治ることのない腐海の海に堕ちていくのだった・・・

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