第334話 ウイン乱入

「やめろ!ヨシノブの屋敷で騒ぎを起こすな。」

言い争う二人の前に立ったのは王太子ウインだった。

隣にショウがいるところを見ると呼んで来てくれたようだ。

「これはウイン殿下!」

言い争う二人と騎士団長達は臣下の礼をとる。


「いったい何があったと言うんだ・・・」

混沌としている状況にウインは頭を悩ませていた。

俺から状況を説明すると、ウインは頭を押さえだす。

「つまり、食事の美味さに釣られ、呼んでもないのに2つの騎士団が余分に訪れて、更に妹二人も恥ずかしげも無く食べに来ていると・・・」

「そういう事になりますね。」

「ヨシノブ、本当にすまない。」

「いえ、構いませんよ。留守にしている間に3つの騎士団が守ってくれていたと思うと安心出来ますし。

リズさん、リーナさんの二人も、美味しそうに食べる姿は微笑ましいですから。

まあ、其処の二人にみたいに争われると困りますが・・・」

俺はマックスとガイラを見る。


「二人の争いの原因にリズが関わっているからなぁ・・・

はぁ、父上に何と報告すれば・・・」

ウインは可哀想なぐらい頭を悩ませていた。

「ウイン兄様、そんなに悩むと禿げますよ?」

リズは悩むウインに声をかけるが・・・


「誰のせいだ、だれの!」

ウインは拳を握り、リズのコメカミをグリグリする。

「イタイ、痛い!」

リズは手をバタつかせ、涙目になりつつ、兄の折檻を受ける。


「ガイラ侯爵、はしたない妹が迷惑をかけた、この事は父ルーズからあらためて話をさせてもらう。」

「はっ!しかしながら、僕としましても不徳の致すところにございますれば、リズ王女には寛大な御処置をお願いします。」

「わかった、その事も合わせて伝えよう。

しかし、マックスと争った事は別の話だ、マックスとガイラは謹慎して頭を冷やせ」

「「申し訳ありません。」」

二人はウインに謝罪をする。

ウインが怒っている状態に雰囲気が悪くなる。


「そんなにカリカリしないのよ、まずはお茶の1つでも飲むといいのよ。」

シモがお茶を持ってきた。

「いや、私はこれより全員を連れて城に・・・」

「せっかく訪ねて来たのだから、お茶ぐらい飲むといいのよ。」

シモはグイッとお茶を出す。


「そうだね、出されたお茶を飲まないのは失礼だね。」

ウインはお茶を手に取ろうとするが・・・

「お待ちを殿下、まずは毒味を通すべきですぞ。」

ウインの隣にいた騎士が飲もうとしたお茶を取り上げる。


「失礼なのよ、シモが入れたお茶に毒があるといいたいのよ?」

「ヨシノブ殿はルクス王子と仲が良いと聞く、

無いとは思うが警戒するのは当たり前であろう。」

騎士がさも当然のように告げると、シモの機嫌は悪くなる。

「むーーー!バカな事を言うのよ。やる気なら剣で斬るのよ。」

「タスク、それは失礼だぞ。

しかし、お嬢さん、ヨシノブ私の身としては毒味を通さずに飲食出来ないのだ。

すまない。」

「私は構いませんよ、シモもウインさんの事情を汲んであげてくれないかな?」

「おとうさんが言うなら我慢するのよ。」

シモはヒシッと俺に抱きついてくる。


「ガキが大人に口を出すな。少しは礼儀をわきまえ口を開く事だ。」

タスクがシモに悪態をつくが・・・

「キサマ・・・ワシの可愛い孫に何と言う口を聞くのだ、心が傷ついたらどうする。」

悪魔がそこにはいた。

アキラは殺気を撒き散らせ威嚇している。

「なっ!いつの前にこんな近くに!」

タスクは自分の間合いに入られた事で慌てて剣を抜こうとするが剣を掴もうとした手が床に落ちた。

「へっ?・・・俺の手が!!」


「アキラさん!ストップ!待ってください!」

俺はアキラを止める。

「なんじゃヨシノブ、孫を傷つける輩をかばうのか?」

「庇いたくは無いですが、始末されても困りますので。」

俺とアキラが対峙する中、タスクはウインに縋り付いていた・・・

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