第331話 次女も乱入

「ヨシノブさん、リーナがお邪魔してます。」

リーナを迎えに来たのは次女のリズだった。

だが不思議な事に呼びに行ったショウの姿が無い。

「リズさん、うちのショウくんには会いませんでしたか?」

「あってませんよ?私はリーナがお邪魔していると聞いて急いで来たのですから。」

どうやらリズはショウとは入れ違いで来たようだった。


「そうでしたか、リーナさん迎えが来ましたよ。」

「えっ?」

何故かリズから疑問の声が上がる。

「あれ?リーナさんを迎えに来たのでは?」

「違いますよ、ここで美味しい物が食べれると予測して来ました。」

「・・・わ、わかりました。とりあえず席をすぐに用意しますが、食事からしますか?」

「私はデザートをいただけたら・・・」

「わかりました、すぐに用意しますね。」


俺はリーナの横にリズの席を用意する。

「リズねえさまも来たのですね。」

「リーナだけ美味しい物を食べるのはズルい。」

「それなら二人でいただきましょう。」

リーナはウキウキとしながらデザートを待ち、リズは少しソワソワしながら待っていた。


その光景を見た騎士団長達は・・・

「おい、リズ王女とリーナ王女が普通にやってこられたぞ。」

「仲が良いとは聞いていたがもしかしてそういう事なのか?」

「そういう事ってなんだよ?」

「メイソン、お前はバカか?どちらかがヨシノブ殿の元に嫁ぐということだよ。」

「あー、そういう事ね、なるほど・・・って、えっ!!」

メイソンは目を丸くする。


「歳を考えるとリズ王女だが、確か婚約者がおられた筈。」

「リズ王女の婚約者って、たしかガイラ侯爵だったな。」

「ああ、今、領地に帰っているはずだが、自分の婚約者が他所の男の家に訪れているとなると・・・」

「まてまて、そうなるとリーナ王女が嫁ぐのじゃないか?妹の嫁ぎ先に顔を出すのはそこまで変な話ではない筈だ。」

「しかし、年齢差がなぁ・・・」

「それはあるがヨシノブ殿を取り込むなら、ということか?」

騎士団長の中で色々な思惑が交差する中、二人の王女は出させたケーキを幸せそうに頬張っていたのだった。


「美味しいです〜♪」

「リーナのケーキ少しちょうだい。」

「リズねえさまのも少し分けてください。」

俺はリズとリーナに別のケーキを提供していた。

同じ物を出しても面白くないと思ったからだ。

出しているのは地球の有名パティシエが作った1品ばかりだ、どれを食べても味わい深い物があった。

それぞれ3つ程出していたのだが、食べ終わったリズは少し言いにくそうに・・・


「あ、あのヨシノブ様、こ、こんな事を頼むのは、はしたないと解ってはいるのですが・・・

私に少し情けをくれませんか・・・」

上目遣いにそっと皿を差し出すのだった・・・

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