第319話 終わらない戦闘

再び立ち上がってくるウーウになす術が思いつかない。

「うにゅ・・・面倒くさいのよ。

鬼さんくるのよ。」

シモは鬼達を呼び出す。


「お呼びですか姫様。」

「あれをすり潰して欲しいのよ。

何度も再生して面倒くさいのよ。」

「お任せあれ。」

酒呑童子達はウーウを取り囲み、金棒で何度も殴打する。

「ぎゃあ、やめろ!我に何をする!離れぬか!」

再生する度に破壊され、反撃も覚束ないまま、破壊され続ける。


「しかし、あれをどうしようか?再生し続けるならずっと殺し続けるのも面倒だよね。」

俺と子供達は頭を悩ませる。

「アキラさん、何か手はありますか?」

「なんじゃ、自分で考えんのか?」

「知ってそうな人がそこにいますからね。」

「ならば、自分で考えるのじゃな。」

アキラは教えてくれそうになかった。


「うにゅ!おとうさんにイジワルするおじいちゃんなんか嫌いなのよ!」

しかし、シモはアキラに言うと・・・

「シモちゃんこれはイジワルじゃなくてな、そ、そうヨシノブの成長を促しておるのじゃ。」

「イジワルじゃないのよ?」

「そうじゃ、自分で考える事も大事じゃからのう。」

「ふにゅ?・・・あっ、シモまだアレを斬ってないのよ。

魂ごと斬れば何とかなるかもなのよ。」

シモは思いついたようだった。

そして、刀を抜きウーウに近付いていく。


『待ってください。』

俺達に声が聞こえる。

「この声はアマテラスさん?」

『はい、アマテラスです。

その者を殺すのは止めてもらえないでしょうか?』

「やめられない、止まらないなのよ。」

シモは歩くのを止めない。


『ま、待ってください!少し事情を聞いていただけませんか?』

「シモ、少しだけ待ってくれないかな?」

「うにゅ、お父さんが言うならシモはいい子で待つのよ。」

シモは刀をしまって、俺の横に来て頭を撫でてもらおうとする。

俺はシモの頭を撫でながらアマテラスとの話を始める。


「それでアマテラスさん、事情とは?」

『あの者は日本人なのです、ただこの世界の神に連れてこられたうえに、力を与えられたといえば聞こえはまだいいですが・・・神ウーウに操られているだけの者なのです。』

「自分の意志は無いと?」

『ほとんどありません。ウーウがアキラに復讐する為だけに使用している、哀れな者なのです。

どうか、殺すような真似は止めてもらえないでしょうか?』


「そういう事なら・・・しかし、そうなるとどうすれば?」

『以前に与えた、私の加護を使ってください。』

「えーと、どのように使えば?」

『左目であの者を見て、魔力を左目に集中させてください。』

俺は言われるまま魔力をみ左目に集める。


「な、なんか左目が熱いのですが?」

『大丈夫です、害はありません。』

「みんな離れるのよ!危険が危ないのよ!」

シモの指示に鬼達はウーウから離れる。


『今です!魔力を開放するのです。』

俺は魔力を開放する。

すると左目から光が発せられウーウに命中し・・・

溶けていった・・・


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