第320話 事後

「あれは大丈夫なのですか?」

『大丈夫です。私の加護、太陽の力で一度溶かし新たに生まれ変わらせているのです。

汚れた物はすべて浄化できますよ。

あれですね、汚物は消毒だぁ〜ってやつです。』


「誰ですか、アマテラスさんにくだらないことを教えた人は!」

『えっ!ま、間違ったのでしょうか?

ツクヨミがアニメを見たりしてて覚えたのですが、違ったのでしょうか?

もしかして、目からビームを出すのも良くないのですか?

日本の子達では流行っていると聞いたのですが?』


「色々まちがってます。」

『うー、お恥ずかしいです。』

アマテラスと話しているとウーウだった者の体が再構築される。


「ここは・・・」

「アマテラスさん、大丈夫なのですか?」

『大丈夫です。既にウーウの気配はあの者からしません。』

「俺はヨシノブ、君はウーウに取り憑かれていたみたいだけど、覚えてるかい?」

「ウーウ?それって、この世界の神様の名前じゃなかったかな?」

「会ったんだね?その事を詳しく聞かせてもらえるかな?」

「確か、アキラとかいう悪魔を倒せと言われてこの世界に来て・・・あれ、断片的にしか思い出せない・・・」

タクミ

『ウーウが操っていたのでしょう。可哀想に・・・』

「この人・・・名前いいかな?」

「俺はタクミです、村井タクミといいます。」

「あらためて、俺は前田ヨシノブ、一応この子達の親で代表をしている。」

「ず、随分子沢山ですね・・・」

「全部、義理だけどね。それで、君はこれからどうする?」


「どうするとは?」

「異世界で暮らすか、日本に帰るか。」

「日本に帰れるのですか!!」

「まだ、可能性だけど一応手段になりそうな物は確保してある。」

「帰りたいです!」

「じゃあ。」


『あ、あの〜非常に言いにくいのですが・・・』

「なんでしょう?」

『タクミは帰れませんよ。』


「「えっ?」」


『ヨシノブが考えているのは天鳥船の使用でしょうが、ヨシノブとタクミは一度死んでしまっていますから、こちらの世界に来たらそのまま・・・』

「じゃあ、俺達は日本に帰れないと?」

『はい。防御壁を張り続ければ生きれるかも知れませんが、日常生活となると無理かと。』


「タクミさん、無理なようですね。」

「ヨシノブさん!なんでこの声の人の言うことを聞いているのですか!

帰れるかも知れないじゃないですか!」

「だって、この人、天照大神だぞ?」

「へっ?それって・・・」

「日本の神様、この人が言うなら無理なんだろう。

残念だけどタクミくんはこちらで住むしかなさそうだ。」

「そんな・・・ヨシノブさんは帰りたくないんですか!」

「俺はほら可愛い子供達もいるし、奇麗な嫁さんもいるからな、それなりにこの世界で幸せに暮らしているから、帰りたいとは思ってない。」

「ずるい!俺も可愛い嫁さんが欲しいです。」

「ずるいって・・・って、タクミくんもチートな力があるんだろ?

それを使えば立場を得るぐらい出来るだろ?」

「そうだ、俺にもチートな力が・・・あれ?メニュー画面が出てこない。」

タクミは手をバタつかせているがどうやら兵器を呼び出せなくなっているようだった。


『申し訳ありません、ウーウの力を浄化する際にタクミの中にあったウーウの加護も焼き尽くしてしまってます。』

「「そんな・・・」」

『なんでヨシノブも悲しそうになんですか・・・』


「いや、ゼロ戦とか赤城とか見たかった・・・」

「そんな事より、俺はどうしたら・・・」

「はぁ・・・ひとまず俺の所に来るかい?衣食住ぐらいは用意するよ。」

色々問題はあるがアマテラスから殺すなと言われている事もあるのでタクミの庇護をする事にする。

「よろしくお願いします。」

タクミは深く頭を下げるのだった。

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