第317話 だれ? 

俺は倒れている人の所にやって来ていた。

それは徐々にだが回復していっており、焼け焦げているものの金髪の男性ということだけがわかった


「金髪?日本人じゃないのか?」

俺が近付こうとすると、

「待ってください。不用意に近づかないでください。」

「オットーとはいえ、近付かないと話も出来ない・・・」

「まずは生きているか調べるべきです。」

オットーは拳銃で足を撃つ。

弾は当たるが反応はない。

「オットー?」

いきなりの発砲に俺が驚くがオットーは銃を構えたまま油断なく確認している。

「まだ意識はないようですね、パウル少し近付いてみてくれ。」

「了解。」

パウルは用心深く近づき、倒れている人に蹴りを入れひっくり返す。


「反応が無いけど、やっぱりキズが癒えてる、生きてるのか?」

すると倒れていた人の指が動く、


パウルは飛び退き、ひとまず距離をとった。

「ガガ、ガハッ!私はいったい・・・」

「動くな!動くと攻撃する。」

「なっ!この私を誰だと思っている!」

「知らん、攻撃されたくなければ身元を明かせ!」

「くっ、これ程の愚か者がいるとは・・・私はディゼル、マルドラド王国の王族だ!

さあ、身元を明かしたぞ!

跪きお前達も名を明かすがよい!」

「俺はヨシノブ、あなたがやった行いについて聞きたい事がある。」

「俺がやった行いだと・・・」

「婦女子を暴行し、王都に攻め込んだ事です。」

「婦女子を暴行・・・ティアの事か・・・いや、あれは違う!俺じゃないし、俺の意志でもない!」

「やっておいて何を今更・・・」

「違うんだ!確かに暴力を振るってしまったが、俺の意志じやない!」

「よくわからないことを言うが王都に攻め込んだ事も自分の意志じゃないとでも?」

「王都に攻め込む?どういう・・・」

ディゼルが嘘をついているようには見えないが、自分の意志では無いという事に違和感を覚えているとアキラが痺れを切らして会話に入ってくる。


「話にならんのぅ、男ならさっさと罪を認めて首を差し出さんか。」

「誰だ・・・ぐぅぅぅ・・・アキラ・・・見つけた・・・アキラ!」

ディゼルは急に雰囲気が変わり、壊れたように喋りだしたかと思うとアキラに飛びかかったのだ。

しかし、当然の如く、アキラに一刀両断される。

「なんじゃこいつは?」

アキラも呆れたようにつぶやくが・・・


斬られた身体が崩れ、アキラの周囲に飛び散る。

すると魔法陣が形成されアキラを囲むように光の壁が立ち上る。

「ふむ、こいつは・・・」

「アキラさん大丈夫ですか?」

「ワシは何ともないが、嵌められたのぅ・・・」

アキラは上を見ている。

すると人影が上から落ちてくる。

パラシュートも使わず降り立ったそれは一度地面で砕け、また再生してアキラの前に立つ。


「ぎゃははは、いいざまだ。アキラ今の気分はどうだぁ〜」

「初めて見る顔じゃと思うが、以前にあったかのぅ?」

「初めて見る顔だと・・・貴様、我の顔を見忘れたか!」

「ふむぅ〜お主は食べた米の形を一粒ずつ覚えておるのか?」

「なに?」

「ワシは印象に残るほどの猛者以外は記憶にないわい。」

「お、おのれ!先代アーアの仇の癖に!」

「アーア?・・・おお、この世界の神だったか?つまりお主は神の手先か?」

「くくく、やっとわかったか!吾は当代ウーウ!いずれはアーアになるものぞ!」

「アーアの価値がわからぬからどうでも良い。じゃがワシを止めた事を悔いるがよい。」

アキラは目の前の光の壁を斬るのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る