第316話 マルドラド王国
ヨシノブ達の戦闘を目にしたカームは・・・
「な、なんじゃあれは・・・」
絶句するばかりであった。
籠城するも攻められ、為す術も無かった相手を一方的に破壊しつくし、最後には眩い光とともに敵を消し去ってしまった。
「ヨシノブは神の力を得ておるのか・・・」
「カーム陛下、今後ヨシノブの扱いを如何になさいますか。」
震えながらも確認してきたのはベレタ侯爵だった。
彼は元々中立的な立場でヨシノブを見ていたのだが、この力を見て恐怖を覚えたようだった。
「敵対は出来まい、我が国にはヨシノブに勝てる力は無い。
だが、この謝礼は如何にするか考える必要があるな。」
「陛下、お言葉ですが。
ヨシノブのせいで王都近郊の被害が甚大な物となっております。
ここは彼に損害賠償を請求すべきでは?」
否定的な発言をするのはテメラリオ子爵であり、彼は急に成り上がり、王族の寵愛を受けるヨシノブを嫌っていた。
「援軍に来てもらって、賠償請求など恥知らずな真似が出来るか!」
「そもそも我が国は援軍を依頼しておりません、彼がこの国にいる事自体、国境を無視する行為です。
ここは非難した上で、損害賠償を請求し、復興費用に当てるべきです。」
「確かに被害は甚大であるが・・・」
「ヨシノブにも非があるのです、そこを責め立て多少なりとも賠償金を引き出しましょう。」
「待たれよ!テメラリオ子爵、それは理に走り過ぎている。
国を救ってもらいながら非を責めるなど道理が通らん!
それに陛下もヨシノブの力を見たでしょう。あれに対抗する力などこの国に無い!」
「それは軍部が情けないだけだ!だが国境を無視する行為を放置も出来まい。
非をはっきりさせ恩賞と相殺するのが一番良い手だ!」
テメラリオとベレタは睨み合い互いに引こうとしない。
「二人共落ち着け、ワシとしてはヨシノブに宝物を礼として渡そうと思う。」
「陛下!そのような弱腰で国が保てると!」
「ヨシノブに野心などあるまい。良いか、人として良く付き合えばヨシノブは敵対したりしない。
それに我が娘ルイスも彼の元におる、あえて敵対する道をいく必要はあるまい。」
テメラリオは悔しそうな表情を浮かべながら、言葉なくうつむくのだった。
一方、住人達は不安で一杯になっていた。
先程までの砲撃で城壁が崩れている所もあった中、今度は謎の光で石が溶けているのである。
そんな中、噂が出回る。
「おい、聞いたか、さっきの光はヨシノブ様が行ったそうだ。」
「なら、俺達を助けに来たのか?」
住人の中にはヨシノブとともにマインズ王国に行っていた兵士の家族もおり、その人柄を知るものもいたが・・・
「でも、貴族の奴らがヨシノブ様を見捨ててお怒りになられてるとも聞くぞ。」
「ラードの町が壊滅させられた話か・・・」
「なぁ、王都は大丈夫なのか?」
不安が不安を呼ぶ・・・
噂が広がれば広がるほど、王都は騒然としていった・・・
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