第296話 謝罪と注意

ラックスは震えながら必死で城に帰る。


「父上!僕に恐怖をあたえたあの女を罰してください。」

「なんだ、ラックス、女とは誰の事だ?」

「父上が客として匿っている一行の少女です!」

「・・・あの一行かね?」

「はい!父上に受けた恩を仇で返す奴らです。」

「ラックスよ、あの者達と関わるな。」

「何故ですか!何故あのような無礼者をのさばらせているのですか?」

「罰せれないからだ、あの者達に勝てるものなどおらん。それより一応対話が出来ているからな、利益だけ得れれば良しとする。」

「話になりません!」

ラックスがソックスに詰め寄るがソックスが取り上げる事は無かった。

それどころか・・・

「ラックスに謹慎を言い渡す、誰かラックスを自室に連れて行け。」

いらないことをしないよう、ラックスを動けないようにする。


しかし、そこに衛兵が駆け込んでくる。

「申し上げます!」

「なんだ騒々しい。」

「し、城の城門が破壊されました!やったのは先日の襲撃者の年寄りです。その者の話によるとラックス様の行いの報復行為との事です。」

「なっ・・・すぐに謝罪に行く!」


ソックスの動きは早かった。

すぐさまシモ達の屋敷に向かった。

「なんのようだ?」

屋敷の門には二人の鬼が立っている。


「あ、貴殿はこの屋敷の者か?」

「姫様を守る者だ、していかようだ?」

「我が息子の行いの謝罪に来た、どうか取次いでもらえないか?」

「少し待て、確認する。」

一人の鬼は奥に歩いていく。


待っている間にソックスは勇敢にも残った鬼に話しかける。

「貴殿達は姫と仰ったが、あの少女は何処かの王族なのか?」

「あの方は尊いお方の末裔にあたる、本来我等が、触れる事も許されぬお方だ。」

「それほどまでのお方でしたか、当方の不勉強でした。」

「お前は物が見えているようだ、くれぐれも言っておく、姫様とお話なさる時に親について悪く言うのは控える事だ。

姫様がお怒りになられる姿は我らもなるべく見たくない。」

「ご忠告感謝致します。肝に命じておきます。」


話していると奥に行った鬼が帰ってくる。 

「お会いになられるようだ、ついてこい。」

鬼に案内され中に入るが屋敷の中には鬼が多数おり、人の世界とは思えない光景だった。


中庭では先日襲撃してきた老人が鬼を相手に訓練している様子が見えた。


「領主さん、来たかい?」

3人の中で一番話が通じていたリョウが待っていた。

「この度は息子が失礼な真似をして申し訳ありません。」

「ええ、俺は無益な殺生は避けるべきと思ってますから・・・ですが、いつも止めれるとは思わないでもらいたい。」

「ええ、申し訳ない。

それでここにいる異形の方達についてお聞きしても?」

「・・・シモちゃん、少女の友達、いや部下になるかな。」

「あの少女が従えていると?」

「そうだね、俺の言う事を聞いてくれるとはいわない。

そして、彼らは人がどうなろうと関係ない。

見ての通り人で無いですから。」

「危険は無いのですか?」

「少女には逆らわないみたいだから、何もしなければ大丈夫。」

「・・・わかりました、私どもは争わないと約束します。

息子は謹慎させますので、少女に近づけないようにしておきます。」

「ええ、くれぐれも敵対しないように、特に親に会えていないストレスから、かなり危険な状態ですから・・・」


ソックスはリョウから注意を受け、シモとの関わりを避けるようにしていた。

国王の命令を受けた、トロイが来るまでは・・・

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