第295話 領主の息子

時間は少し遡る、

ヨシノブが迎えに来るまでシモ達はのんびり滞在するつもりだった・・・


シモが屋敷にいると少し年上の男の子が訪ねてきたあげく、話しかけてくる

 

「お前がシモとかいう女か?」

「誰なのよ?」

「俺はラックス、このスパ子爵家を継ぐものだ!」

「何か用事なのよ?」

「ふむ、家臣が言う通りだな・・・よし、お前を俺の側室に迎えてやろう。」


「・・・頭がおかしいのよ?」

「誰が!口の悪い奴だな、そんな事だと俺の側室として苦労するぞ。」

「ならないから問題無いのよ。」

「なっ!この俺の誘いだぞ、何で断るんだ!」

「受けるほうがおかしいのよ?」

「父上に世話になっている分際で偉そうにして!後悔することになるぞ!」


「ならないのよ。」

「くそっ、ルマス、この者に立場を教えてやれ!」

「嬢ちゃん、大人の言うことを聞いていたらいいんだよ。」

ラックスの側近のルマスがシモに近づく、彼はラックスの側にいた為、襲撃を実際に見ていなかった、その為、シモが危険な事に気付いていない・・・


「大人の言うこと?おとうさんとおかあさんと、リョウ兄とおじいちゃんの言うことは聞いているのよ。」

「チッチッチッ!こういう場合は私の様な知性溢れる大人の言うことを聞くんだよ。

平民の親の言葉に知性はないからね?」

「うにゅ?おとうさん達を知性が無いといいたいのよ?」

「そう聞こえるなら仕方ないかな、だって私と比べるとねぇ〜

私は帝国大学を主席で卒業した秀才だからね。

比べると可哀想かな?」


「・・・おとうさんを馬鹿にしたのよ。」

「おや、怒ったのかね?

まぁ、私に従っていれば、君の父親も少しはマシになるかも知れないがな・・・

・・・ぎゃぁぁぁぁ!腕が!腕が!」

会話の途中でシモが腕をきりおとす。


「おとうさんを侮辱する者は生きる価値が無いのよ。」

「こ、こんな事をしてただで済むと!」

「おとうさんを侮辱してただで済ますわけないのよ!」

シモは会えない悲しみも含めて怒りにみちていた。

溢れ出る殺気にルマスは足がすくみ動けなくなる。

そして、ラックスも腰が抜けて動けない。

ガタガタ震えるだけだった・・・



「落ち着いてシモちゃん。」

そこにリョウの声が聞こえる。

「リョウ兄止めるのよ?」

「そうだね、止めさせてもらうよ。」

「おとうさんを侮辱した奴をかばうのよ?」

シモの怒りはリョウにも向くがリョウは気にもしない。


「うーん、それは確かに許せないけど、殺すまではしなくていいよ。

腕を奪ったのだから、それぐらいにしとかないとヨシノブにやり過ぎと言われるよ。」

「うにゅ!おとうさんに怒られるのよ?」

「やり過ぎは良くないよね?」

「シモはもう止めるのよ。」

シモはアッサリ刀をしまうのだった。


ラックスとルマスは刀をしまったのを見て、一目散に逃げて行くのだった。

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