第294話 迎えに・・・

「リョウから手紙?

・・・なるほど、ヒンメル帝国に来ているのか。

って、なんでリョウが来ているんだ?

わからないけど、行くしかないな。


パウル、オットー、シモ達を迎えに行くけどついてくるかい?」

「おとうさんが行くならどこへでも!」

「シモもやっと帰って来たんですね。」


「そういう事だね、迎えに行こうか。

サリナさん、ここに残る子供達を頼める?」

「ヨシノブさん、私も一緒に行きます。連れて行ってください!」

いつものように留守をサリナに頼もうとしたが、サリナもシモが心配のようで珍しく自身の意見を言ってくる。


「うん、そうだね、ショウくんにここの纏め役を頼むよ、一緒に迎えに行こうか。」

「はい。」

「リミ、ショウくんに伝えてもらえるかな?

パウル、オットーすぐに向かうよ。」

「わかりました。すぐに手配をしておきます。

おとうさん、シモをお願いします。」

「もちろんだ、帰ってきたらみんなで祝おうか。」

「はい。」


俺達は飛行艇で指定された町ブーツに向かうのだった。


「シモ!」

俺達がブーツの町に着くとシモが抱きついてくる。

「おとうさんなのよ!会いたかったのよ。」

「おかえりシモ。」

「あのね、シモね、がんばったのよ!お花もお琴も修行もいっぱいがんばったのよ!」

シモは泣きながら頑張った事を伝えてくる。

「そうかよく、頑張った。偉いなシモ。」

俺はそんなシモが落ち着くまで抱きしめ、頭を撫でてあげる。


「貴殿がヨシノブ殿か?」

空気を読めないのか領主のソックスが声をかけてくる。 

「サリナ、シモを頼むよ。」

俺はサリナにシモを預けて話し合いをする。


「このたびは娘が世話になりました。」

「・・・本当に連れて帰ってくれるんだよな?」

「ちゃんと連れて帰ります。」

「よかった・・・これで地獄の日々から解放される。」

「あ、あの?何があったのですか?」


「貴殿の娘が呼び出した・・・」

「おとうさんに何を伝える気なのよ?」

シモはソックスの喉元に刀を突きつける。


「ヒッ!」

「こら、シモ、お世話になった人に迷惑をかけない。」

「うにゅ?おとうさんが言うのなら我慢するけど・・・言葉は選ぶべきだと思うのよ。」

「わ、わかってます!言いませんから!」

「それでいいのよ、口の軽い男の命は短いと聞くのよ。」

「こら、シモ、それで何があったんですか?」

「私の口からはとても・・・」


ソックスの震えている様子から聞き出せるとは思えなかった。

「わかりました、では、別の話をしましょう。

手紙にありましたがルーカス商会の商品を取扱いたいとか?」

「ええ、出来ますか?」

「いいですよ、店舗を用意していただければ、商品を運ぶよう手配しましょう。」

「助かる・・・あと、私は貴殿と争う気はない。

くれぐれも娘さんに伝えて欲しい。」

シモに怯える、ソックスを見ていったい何があったか不思議でならなかった・・・

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