第293話 襲撃と交渉
「貴様達の目的はなんだ!」
シモ一行はついに領主ソックスの元までたどり着く。
「おとうさんにあいたいのよ!」
「・・・はぁ?おとうさん?この城にいるのか?」
「いないのよ!」
「いないのに会いたいとはおかしな事を言う、一体何が目的だ!」
ソックスは殴り込んでおいて意味不明な発言に混乱する。
「シモちゃんの話を聞けんのか?」
アキラの殺気がソックスを突き刺す。
その瞬間、身体中に震えがくる。
生存本能が早く逃げ出せと訴えかけてくるが、逃げても死が待つだけだと、勇気を振り絞り、平静を装う。
「二人とも落ち着け。」
アキラとシモだと話が進まないので代わりにリョウが話し出す。
「このような形で訪ねたのは不本意ですが、私達はヨシノブという者を探しているのです。
多分ですが、マインズ王国か、ルーカス商会に連絡をとれませんか?」
3人のうちに唯一理性的に会話をしてくるリョウが出てきた事に領主は少しホッとしながら落とし所を探ろうとする。
「マインズ王国なら海向こうの国だな、多少なりの国交はあるから国としては連絡がつくであろう。
それとルーカス商会とは、海向こうの商会だな。
良きものを取扱っていると聞くが、我が国にはあまり入ってきておらん。」
「そうですか、ならマインズ王国に連絡してもらう事は?」
「・・・このような真似をして話を聞くとでも?」
否定した事でシモから殺気が放たれている。
「悪い事はいいません、後ろの二人の我慢しているうちに何とかしないと町ごと無くなりますよ。」
「あ、ああ、わかった。
手紙を出す、それで良いか?」
領主は冷や汗が止まらない、シモとアキラの殺気は尋常ではなかった。
「それで構いません、代わりと言ってはなんですが、ルーカス商会と取引が出来るように話をつけましょう。」
「出来るのかね?」
「ええ、ツテがありますので会えば何とか出来るかと。
迎えが来るまで滞在させてもらえますか?」
「わかった、城への乱入は不問とする。
代わりに商会との橋渡しを頼むぞ。」
領主はルーカス商会の品が入ってくるメリットを考えていた。
現在入ってくる一部の商品の値はマインズ王国の十倍の値がついている。
それを扱えるのなら、この襲撃に目を瞑ってもお釣りがくると考えた。
そして、リョウはヨシノブに手紙を書く。
ヒンメル帝国のこの街ブーツにシモとアキラを連れて滞在している事、そして、世話になっているのでルーカス商会との取引を条件にした事も書いておく。
これで迎えが来るだろうと。
あとはただ待つだけであった。
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