第292話 ヒンメル帝国の悲劇
ヒンメル帝国では突如現れた鬼の軍勢について話題にのぼる。
「おい、見たことの無い魔物の軍勢が盗賊を襲ったようだぞ。」
「俺も聞いた、悪名高い血狩りのムルスが為す術もなくやられたそうだ。」
「となると治安が良くなるのか?」
「馬鹿を言うな、代わりにもっと危険な物が現れたって事だぞ、どうするんだよ・・・」
国民は不安に思っていた。
そして、噂話は皇帝ザディコの耳にも入る。
「見たことない魔物が出ておるとの事だが、如何にする。」
「陛下、まずは調査隊を派遣する所から開始したいと思います。」
家臣のトロイが進言する。
「トロイよ、そんな事で良いのか、余の国が荒れてからでは遅いのだぞ。」
「陛下、我が国は先日の海軍崩壊事件により、国力が低下しております。
すぐに動く余力はございません。
それに、やられたのは賊のみで村に被害はなかったとの事でした。
軍を派遣して刺激する前に詳しく調査すべきかと思います。」
「うむ、トロイの言、一理ある、この件はトロイに任せる。」
「はっ!謹んで拝命いたします。」
トロイは調査隊を派遣するも情報が集まって来なかった。
そんな中、シモは・・・
落ち込んでいた。
「うにゅう・・・おとうさんと電話が繋がら無いのよ。」
帝国まで電波がきておらず、電話が出来ない事に悲しくなっていた。
今まで日本にいたが画面越しとはいえ、会って話していた、しかし、今は出来ない・・・
その事に夜な夜な泣いていたのだ。
「リョウ、何とかせんか!」
「無茶を言うなよ!俺はこの世界の事何も知らないの!爺ちゃんこそ何か無いのか?」
「ワシは物理だけじゃからのぅ・・・そうじゃ、この国の為政者ならヨシノブと連絡がとれるのじゃないか?」
「なるほど、国同士なら居場所がわかるか、連絡をとれたらヨシノブの迎えがくるだろう。」
方針が決まると3人の行動は早かった。
翌日訪れた町で・・・
「偉い人を出すのよ!」
シモは門番にそう言い放つ。
「あはは、お嬢ちゃん、偉い人はなかなか会ってくれないんだよ。
でも、お嬢ちゃんがいい子にしてたら会えるかもね。」
門番は優しく返すが・・・
「それじゃ駄目なのよ!すぐに会わないといけないのよ!」
シモが駄々をこねる。
「シモちゃんや、町の門番に行っても仕方ないのじゃ、ワシラの方から行ってやらんとな。」
「うにゅ?そうなの?」
「そうじゃ、話し合いには作法と言うものがあるからのぅ・・・」
一時間後
「誰か!応援を呼べ!」
「骨が折れた!誰か手当を!」
「止めてくれ、これ以上は・・・頼むよ・・・」
地獄絵図が城で繰り広げられる、唯一の救いは誰も殺されてはいない事だろう。
「おじいちゃん、これが作法なのよ?」
「そうじゃ、正面から中央突破、これが正しい作法じゃ、向こうも会いたくなければ、戦うしかあるまい。
こうして会えばどんなこともまかり通る。」
「凄いのよ!さすがおじいちゃんなのよ!」
シモは目をキラキラしてアキラを見ている。
「この爺さんは子供の教育には向かねぇなぁ・・・」
リョウはただただ呆れるばかりであった。
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