第249話 シモを巡って・・・
「子供に会わせろですか?」
加持は源家を訪ね、リョウと話し合いをもつ。
「それほど、強い意味でとらないでください、ただ異世界から来たのですから、検査も含め、入国審査など、手続きをしていただきたく。
その為にも一度会った方がいいと進言しに来ているのです。」
「ふーん、どう言い繕っても身柄を確保したいようにしか聞こえないね。」
「いやいや、政府としてはやらなければならない事なんですよ、どうか折れてくださいませんか?」
「断る。」
「えっ、いや、それだと不法入国になりますが・・・」
「だったらどうする?俺達とまたやり合うのか?」
リョウは以前、政府相手に一歩も引かず、戦いを挑んだ前科があった。
加持も冷や汗が流れる・・・
「俺が親友の子供を引き渡す事は無い!
まあ、爺さんが可愛がっているからな、連れて行けるもんならやってみな、何人死人が出ることやら。」
「アキラ氏が可愛がっているのですか?」
「実の孫より可愛がっているね、今も子供を連れて遊園地に行っているよ。」
「あの人が遊園地ですか?」
「俺もそう思う。実の孫を連れて行ったことも無いのにな。」
「では、会わせてもらえないのですか?」
「そうだな、会いたいならヨシノブの許可を取ってこい。そちらでも連絡出来るんだろ?」
「わかりました、一度確認してからもう一度お話に来ます。」
「ああ、あとこの世界でのあの子の後見人は俺がする。
何かあれば全力であの子を助ける。
たとえ何をしてでもな。」
加持は冷や汗が止まらない。
リョウは言葉の通り、政府に逆らってでも完遂するだろう。
一度総理の判断をもらいに戻るのだった。
「人が多いのよ!」
シモはアキラに連れられ千葉にある遊園地を目指して駅前まで来ていた。
だが、あまりの人の多さに驚きキョロキョロしている。
「驚いたかい?じゃが不埒な者も多いからのぅ気をつけるのじゃぞ。」
人混みに紛れシモのお尻を触ろうとした変態はその手を失う事となる。
アキラが人の目にうつらない速度で切り落としたのだ。
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
「何か騒がしいのよ?」
「変わった者も多いからのぅ、さあ行こうか・・・」
駅は腕を失った者の為に救急車が慌ただしく到着していた。
そんな中、何事もないかのようにアキラはシモを連れて電車に乗ろうとするが・・・
「アキラさん待ってください、車を用意してますから!」
アズサは朝早く出掛けた二人を追って慌てて車を用意していた。
「なんじゃ、シモちゃんに汽車を見せてやろうと思ったのに・・・」
「シモちゃんが迷子になってはいけませんからね、さあ、シモちゃん、お姉ちゃんと一緒に車に乗ろうね?」
「アズ姉、シモ、車に乗るのよ、ここ人が多くて嫌なのよ。斬ってもいいのよ?」
「良いぞ。」
あっさりアキラは肯定する。
「良くないです!アキラさんも認めないでください。」
「でも、邪な気配を沢山感じるのよ?」
シモは周囲の気持ち悪い視線を感じていた。
「可愛いシモちゃんを邪な目で見るぐらいは見逃してあげて、そりゃ良くない事だけどすぐに斬っちゃ駄目だからね。」
「うにゅ?お爺ちゃんが言ってたのよ、邪な心の持ち主は斬っても構わないって?」
「アキラさん、何を教えているのですか!」
「必要な事じゃ、何せ幼子に欲情する不埒者が多くてのぅ・・・」
既に何人かが手を失う事になっており、救急車の音が追加で聞こえて来るのだった・・・
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